徳島県那賀町が主催するオンラインの音楽イベント「那賀町だヨ！全員集合」が9日、動画配信サイト「ユーチューブ」で配信された。コロナ禍でも町をPRしようと2020年に配信が始まり、これまで奥田民生さんや夏木マリさん、ロックバンド・元チャットモンチーのメンバーなどが出演した。視聴者からは「おかげで（町が）身近になりました」「町へ行ってみたくなる魅力満載の番組」と好評だ。イベントを企画した町まち・ひと・しごと戦略課の沢井昭秀係長（41）は「1人でも多くの視聴者が町と関わりを持ってほしい」と期待を込める。
「人口より鹿の方が多いけど、田舎暮らし始めました」
「那賀はなかなか良い田舎です」
9日の配信では、芸人のAMEMIYAさんが「那賀町で田舎暮らしはじめました」と、町を題材とした歌を披露。歌詞には太龍寺ロープウエーなど地元の観光スポットのほか、木頭ゆずといった特産品などが盛り込まれ、ユーモアを交えながら町をPRする内容だった。他にも町職員8人でつくる「那賀町職員バンド」や、コミックバンド「四星球」など6組のアーティストらが出演し、歌を披露したり、町の印象を語ったりした。
「那賀町だヨ！全員集合」は今回で4回目。沢井係長によると、20年に町のPRイベントが新型コロナウイルスの影響で中止になったことが、動画配信のきっかけとなった。コロナ禍でも町の魅力を発信しようとPR動画の作成を思いついたが、「世間一般の地方創生動画では、突出しきれない」とも思った。何かユニークな要素を取り入れようと考え、アーティストらを招いた動画配信を思いついた。
過去に町を訪れたことがあるアーティストや芸人などに声をかけ、これまで約20組が出演した。仕事で付き合いがあった元チャットモンチーの福岡晃子さんや高橋久美子さん、町の音楽イベントに参加したことがあった奥田さん、別の仕事で徳島を訪れたことがあった夏木さんなどが応じた。
出演者には町のパンフレットや特産品を送り、町を紹介してもらうよう依頼。動画の合間には、移住者や町で働く人を紹介するCMも流した。動画の撮影・編集は出演者側に依頼したが、企画書の作成や出演依頼などは沢井係長が1人で担当。3回目以降はMC（司会）が使う台本も書いた。それでも「苦労ではなく、楽しかったという思いしかない」と笑う。「那賀町という名を一回でも多く人の目に触れさせたい」との思いが、モチベーションになっている。
動画はライブ配信のほか、ユーチューブの町公式チャンネルで1週間～1カ月公開した。これまで2万回近く再生され、視聴者からは「地元のお祭りの豪華版」「コロナも落ち着いたら絶対遊びに行きます」との感想が寄せられた。出演者からも「町をPRする方法として画期的」「社会貢献度が高い」と好評だという。沢井係長は「これからもアーティストと一緒に町をPRして、1人でも多くの人に町を知ってもらいたい」と意気込む。
4回目の配信は、2月8日まで町公式チャンネルで見られる。【岩本桜】
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