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Friday, May 14, 2021

音楽市場、次の狙い目は「アーティストサービス」 - Wall Street Journal

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ウータン・クラン(写真)などの大物アーティストの著作権を管理するダウンタウン・ミュージック・ホールディングスは、アーティストに代わって楽曲の流通やマーケティング、印税の徴収を担う「アーティストサービス」に移行する

Photo: Ralph Arvesen/ZUMA Press

 独立系最大手の著作権管理・音楽サービス会社ダウンタウン・ミュージック・ホールディングスは、著作権ビジネスから撤退する。

 この件に詳しい関係者によると、ダウンタウンは今週、アデル、アレサ・フランクリン、ビヨンセ、レディー・ガガなどのアーティストが収録したヒット曲の著作権14万5000件を4億ドル(約440億円)で売却。同社がより価値のあると考える事業、つまり、ミュージシャンに代わって楽曲の流通、マーケティング、ライセンス管理、資金調達、印税の徴収などを担う「アーティストサービス」に狙いを移しているという。ストリーミングの普及により、自分たちの音楽を世に出し、そこからお金を得るための支援を必要とするアーティストが増えると見込む。

 CDやデジタルダウンロードの時代には、アーティストが自分の音楽を販売したり、ラジオで流したり、プロモーションしたりするには、基本的にレコードレーベルと契約する以外に手段はなかった。通常のレコード契約では、レーベルは前金を支払い、そのアーティストと契約するリスクを負う代わりに、アーティストが収録した音楽の所有権を取得する。スポティファイ・テクノロジーやアップル・ミュージックなどのストリーミングサービスの台頭で、アーティストはレーベルの助けがあってもなくても、好きなように音楽を発売できるようになった。

 世界的なヒット曲の大半は今も大手レーベルのシステムによって生み出されているが、中小規模のレーベルに所属する大勢のアーティストが自分の力で成功し、キャリアを築いている。多くの新進気鋭のアーティストはインディーズでキャリアをスタートさせ、サウンドクラウドやスポティファイ、ユーチューブ、TikTok(ティックトック)などで人気を博した後、より実入りのいいレーベル契約を結んでいる。しかし、そのような契約においてさえも、アーティストは音楽の所有権の維持を含め、より多くを要求するようになっており、ダウンタウンの計画をさらに裏付けている。

 ダウンタウンの創業者で最高経営責任者(CEO)のジャスティン・カリフォウィッツ氏は「キャリアの最初に権利を売る動機は、廃れつつある」と話す。「ピラミッドの頂点、つまり上位1%のクリエーターが著作権を売っているのは事実だが、今日の音楽ビジネスの一般的なテーマは、『いかにして自分の楽曲を所有し、コントロールするか』だ」と述べた。

 独立系のアーティストは、音楽ビジネス市場で最も急成長している分野だ。調査会社MIDiAリサーチによると、インディーズのレーベルとアーティストの売上高は2020年に27%増加し、ストリーミング市場に占めるシェアは計31.5%に拡大した。また昨年は、レーベルと契約せずに音楽を配信したアーティストの数が34.1%増え、初めて10億ドル市場となった。スポティファイの元チーフエコノミスト、ウィル・ページ氏の調査によると、昨年は独立系アーティストのリリースが8対1の割合でメジャーレーベルを上回った。

 こうした現状について、カリフォウィッツ氏はアーティスト向けサービスの必要性を示しているとし、「音楽業界に流入している資本は、こうしたクリエーティビティーの爆発とそこから生まれた大量の音楽がこの世界で行っていることに向けられていない」と述べた。

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