新型コロナウイルスの危機を解決するには、感染力の高い変異種が広がる前に、政府がどれだけ早く個人にワクチンを接種できるかにかかっている。そのために重要な役割を果たしているのが、Health Solutions Research(HSR.health)が開発した地理情報システム(GIS)プラットフォームで、クラウドサービスとして提供されている。
HSR.health が開発した「GeoHealth Platform」は、健康の社会的決定要因とソーシャルメディアのデータおよび推定医療費を組み合わせて、潜在的なホットスポットを抽出する。HSR.health CEO の Ajay Gupta 氏は、VentureBeat に対し次のように語った。
このプラットフォームは、Esri の地理空間マッピングソフトウェアと、地理空間データを共有するためのオープンソースの Geoserver ソフトウェアを使って作られた Health Risk Index モデルに基づいている。我々は健康の社会的決定要因を追跡したかった。
感染拡大が始まって間もなく、HSR.health はさまざまな機関が公開しているオープンデータソースを使ってそのモデルを拡張し、例えば、将来の発生場所を予測したり、郡、郵便番号、国勢調査区ごとに死亡や重症化のリスクが最も高い地域を特定したりすることができる、より幅広い指数モデルを作成した。
また、感染率の増減に合わせて、分析されたすべてのリスク要因に基づいて、入院率が上昇しそうな特定の地域をピンポイントで特定することが可能になると、Gupta 氏は指摘する。また、これらの情報は、何らかの理由で予防接種を受けることをためらっている人々がいる地域やコミュニティを特定するのにも重要な役割を果たす。
これまでに HSR.health が作成した指数は、中米の新型コロナウイルス感染拡大に対応すべく、WHO(世界保健機構)傘下の汎米保健機構(PAHO)に採用された。この取り組みは、Open Geospatial Consortium の努力によって実現された。
コロナ対応で威力を発揮した GIS の力
これとは別に、オープン API を整備している Graph Foundation は、HSR.health が作成した感染リスクと死亡リスクの指数を用いて、WHO のアフリカ地域事務所にリスクマップなどの情報を提供している。
また、米国の州政府機関は、医療機器指数を利用して、現在入院している新型コロナウイルス患者の治療に必要な人工呼吸器の台数を把握し、個人防護具メーカー各社はコンサルティング会社 Portals Global を通じて提供された医療供給指数を利用して、サプライチェーンの最適化方法を検討した。
また、米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)をはじめとする緊急事態対応機関では、特定の災害の影響を受ける人々の健康および医療ニーズを特定するために、健康リスク指数を採用している。
新型コロナウイルスの感染拡大は、GIS プラットフォームがあらゆる医療危機の緩和に重要な役割を果たすことを決定的に証明したと Gupta 氏は述べている。例えば、メリーランド州ボルチモア市では、妊産婦の死亡リスク層別指数のコミュニティ試験の初期段階にある。この指数は、陣痛や出産の合併症、その他の子供の健康問題のリスクがある妊産婦の健康の社会的決定要因を特定するものだ。
パンデミックが発生したとき、医療界ではコミュニティ・アウトリーチへの関心が高まり始めていた。多くの医療プロバイダは、患者の治療実績に応じて報酬を得ていたため、医療施設周辺のコミュニティに影響を与える可能性のある疾病の根本原因をより深く理解する必要があった。現在の当面の課題は、新型コロナウイルスの予防接種プログラムへの参加に消極的な地域を特定することだ。このようなインサイトがあれば、医療関係者は啓蒙活動のターゲットを絞ることができる。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、各国が現在直面している医療上の大きな危機だけにとどまらない。感染拡大が終息すれば、糖尿病や癌などの広範な疾患に対処するために、より多くの時間とエネルギーが注がれるようになるだろう。しかし、新型コロナウイルスをはじめとする多くの病気にとって、場所の情報は主要な指標であり、新型コロナウイルスに関して言えば、それは最新のものであり、間違いなく最も緊急性の高いものだ。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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