若手アーティストの発掘・育成とさらなる活躍の場の提供を目的として2007年に始まった「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」。2024年度のグランプリ受賞作をはじめ、最終審査まで残った全20作品が東京・丸の内「行幸地下ギャラリー」にて公開されている。
文=川岸 徹 撮影=JBpress autograph編集部
「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」展示風景。高尾岳央《船》、《恐竜》2024年
若い世代の感覚がわからない
「新入社員や若手社員とのコミュニケーションに苦労している」という話を聞く。昔から世代間ギャップはあって当たり前のもの。だが、近年はその溝が広がる一方だ。
これは必然で、仕方がないことだろう。終身雇用・年功序列のシステムが根付いた縦型世代と、SNSで世界中の人々や、場合によっては人気企業の経営者や著名な文化人とフラットにつながれる横型世代では、考え方や感覚が大きく異なるのも当然だ。
残業NG、命令拒否、短期間での退職。上の世代から見れば「困ったものだ」となりがちだが、そもそも感覚が違うのだから仕方がない。とはいえ諦めずに、苦労しながらでも若い世代の考え方をつかんでいかなければならない。それが社会というものだし、未来は若者が築いていく。今の若者の感覚や考え方に触れることは、上の世代にとって最高の学びの機会だ。しかも今の若者は、本当に優秀な人が多い。
18回目を迎えた若手アーティストのアワード
若い世代の感覚をリサーチする機会として、「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」を勧めたい。これは2007年にスタートし、今年で18回目を迎えるアワード。ART AWARD TOKYO MARUNOUCHIが面白いのは、ほとんどの若手アーティストのアワードが公募形式であるのに対し、このアワードは審査員が全国の主要な美術大学、芸術大学、大学院の卒業修了制作展を訪問し、ノミネート作品を選ぶというスタイル。つまり、「私が私が」という前面に出るタイプではないアーティストの作品も発掘できるというわけだ。
18回目となった「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」。今回の審査員は今村有策(東京藝術大学大学院美術研究科教授)、木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館館長)、後藤繁雄(編集者、クリエイティブディレクター、京都芸術大学教授)、小山登美夫(小山登美夫ギャラリー代表、日本現代美術商協会副代表理事)、建畠晢(埼玉県立近代美術館館長)、藪前知子(東京都現代美術館学芸員)、野口玲一(三菱一号館美術館学芸員)の7名。
今年度、審査員により選ばれたノミネート作品は147点。そこからさらに審査を行い、20点に絞り込んだ。その20点を4月25日~5月12日に東京・丸の内の「行幸地下ギャラリー」に展示している。
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