ストリームシェアとは、Spotify全体の総再生回数に占める、Spotifyがライセンス契約するレーベルやディストリビューター(配信事業者)などの権利者のシェアのこと。つまり、報酬は再生回数自体ではなく、再生回数の割合が左右する。
Spotifyで配信されている楽曲1億曲以上のうち過去1年間で1~1000回の再生数だった楽曲は、運営企業の発表によれば「数千万曲」であり、その各楽曲が生み出す1月あたりの平均の収益は0.03ドル(日本円で数円)だという。
Spotifyによれば、こうした楽曲の報酬は「権利者からアーティストへの最低支払額に満たない(通常一回の引き出しあたりの最低支払額を2から50ドル程度と定めていることが多い)」だけでなく、支払いの手続きにさらに「銀行手数料(通常一回あたり1から20ドル程度)がかかる」ため、アーティストの手元に入っていなかった。
一方で、そうした楽曲数は数千万曲と多いため、運営側からすると、権利者への支払いと銀行手数料などのために、アーティストの手元に入らないにもかかわらず、日本円で数千万~数億円を支払っていたことになる。
SNS上では「これ酷くない?突然過ぎない?」「メジャー・アーティスト優遇」と驚きや困惑する反応が多く見受けられたが、発表自体は2023年の11月にあり、もともとの収益の分配システム自体、メジャー・アーティストが強かったともいえる。
Spotifyは、サービス上での総再生回数のうち、「99.5%に相当するトラック(楽曲)は、年間1000回以上の再生回数を達成しています」と説明。再生数が1000以下の楽曲は、数自体は数千万曲と多いが、Spotifyの収益の分配方法において重要な「総再生回数に占める割合」は少なかった。
Spotifyは一連のルール変更で、年間再生数が1000回を超えるアーティストの収入は、今後5年間で10億ドル(約1500億円)以上、増えると予測。
ただ、この金額は主にレーベルや著作権権利団体などへの支払いであり、アーティストの収入が直接的に増えるかどうかは、アーティストとレーベルや著作権権利団体との契約による。
Spotifyは「今回の変更によってSpotifyの収益が増えることはなく、権利者への総支払額自体も変わりません」「私たちは年間数千万ドルを、留保されてしまうような少額として分散するのではなく、条件を満たしたすべてのトラックへの支払いを増やすことに割り当てます」とコメントした。
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