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Sunday, February 11, 2024

輪島塗復興のために ウクライナから避難のアーティスト 作品を販売:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 能登半島地震で打撃を受けた国の重要無形文化財「輪島塗」の復興を支援しようと、ウクライナから京都市に避難しているアーティストのユリヤ・ボンダレンコさん(31)が作品をつくっている。11日から17日まで、インターネットのチャリティーオークションで作品4点を販売し、輪島塗復興のプロジェクトに寄付するという。

 ユリヤさんの故郷ウクライナでは戦争が続く。2022年2月に軍事侵攻したロシアは、生まれ育った北部チェルニヒウも徹底的に攻撃した。恐怖を感じたユリヤさんは家族と離れ、ドイツを経て同年6月に日本に逃れた。「今、ウクライナへの関心がどんどん薄れている気がする」。故郷への心配は尽きない。

 でも今は、能登半島地震の被災者を支えたいという。ニュースで倒壊した建物や津波の爪痕を見て、ショックを受けた。寒い中、避難生活を続ける人々のことも気がかりだ。「日本は二つ目の故郷。日本社会の問題は私の問題で、日本の人々の痛みは私の痛みです」

 振り返れば、日本語を本格的に学び始めたきっかけも地震だった。15年ごろ、ウクライナで日本のラジオ番組を聴いた。家族を失い、家を失った東日本大震災の被災者の言葉が響いた。ユリヤさんは「ゼロから人生を立て直す姿に感動して、日本の人々の考えをもっと知りたくなった」と振り返る。

 今月2日、ユリヤさんはオークションに出す作品「愛の太陽」を京都市伏見区でつくっていた。赤色のアクリル絵の具にたっぷりと浸した筆で、画用紙に小さな「愛」という漢字をいくつも描いていく。心を落ち着けて、ゆっくりと。1文字描き終えるたびに、筆先を整える。「愛」をいっぱい描き、日の丸のようにするという。「被災者に希望を届けたい」

 能登半島地震後につくった「穏やかな波」と名付けた作品もオークションに出す。チューブ状のクッションを曲げ、波を表現。淡い緑色の塗料を全体にかけ、ところどころにガラスの砂もくっつけた。

 「日本海の波が私の作品の波高よりも高くなって、人の命や建物を奪わないように。愛や希望、喜び、平和をもたらしてくれる穏やかな波でありますように」。そんな思いを込めた。

 オークションの要項や申込先は、輪島塗の工房再建を目指す「輪島塗・未来工房プロジェクト」の公式ブログから確認できる。オークション期間中に最も高い価格を提示した参加者が作品を購入できる。ユリヤさんは諸経費を除いた全額をプロジェクトに寄付することにしている。

 プロジェクトを立ち上げたコンサルタント会社「ネクストエージ」(大阪市)の吉村大作社長(43)は「自国のことも心配なのに、能登のことを支援してくれる気持ちはありがたい」とオークションへの参加を呼びかけている。

 購入者は18日に発表する。この日はユリヤさんの誕生日でもある。ユリヤさんは「被災地の誰かを助けることは、私に本当の喜び、幸せをもたらしてくれると思います」と話している。(西崎啓太朗)

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