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Thursday, September 22, 2022

【プレビュー】美術館の「遺産」をアーティスト・平子雄一が「変形」、「再生」――「平子雄一×練馬区立美術館コレ… - 読売新聞社

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「平子雄一×練馬区立美術館コレクション」展は、練馬区在住の気鋭のアーティストである平子雄一(1982~)と同美術館コレクションとのコラボレーション。アーティスト自身の眼で練馬区立美術館のコレクションの中から10点の絵画を選び、分析、解釈し、それらの作品から様々な要素を取り込んだ新作絵画を制作し、選んだコレクションとともに公開する展覧会だ。

平子雄一氏、プロフィール写真

1982年、岡山県で生まれた平子は、2006年にイギリスのウインブルドンカレッジ・オブ・アート絵画学科を卒業。現代社会における自然と人間との共存について思考し、それらの境界線を作品制作を通じて追究している。表現手法は絵画を中心に、ドローイングや彫刻、インスタレーション、サウンドパフォーマンスなど多岐に渡る。

靉光 《花と蝶》 1941-42年頃 油彩、カンヴァス 練馬区立美術館

今回の展覧会のタイトルは、美術館のコレクションという「遺産」(inheritance)を平子という別のアーティストが「変形」(metamorphosis)し、現代的な感覚のもとに「再生」(rebirth)させるという意味。平子自身が名付けた。時間と空間を超えた対話的な試みで、過去から未来につながる創造の可能性を探る。

新道繁 《松》 1960年 油彩、カンヴァス 練馬区立美術館

最初のテーマは「遺産」。平子は、7,500点に上る美術館のコレクションから平子自身のテーマでもある「自然」を描いたものを中心に10点の絵画を選んだ。様々な植物を題材にした作品や練馬や武蔵野の風景画なども、そこには含まれる。例えば、靉光(あいみつ、1907~1946)は、「絵の画面の濃密さに魅かれた」、新道繁(しんどうしげる、1907~1981)は「画面の構成に興味を持った」、野見山暁治(のみやまぎょうじ、1920~)は「自分とは異なるタイプだが気になった」などと、選択の理由を話す。

野見山暁治 《落日》 1959年 油彩、カンヴァス 練馬区立美術館

続いて「変形」。セレクトした10点の絵画の写真や資料を手に、平子はスタジオに戻った。制作当時の作家の思考や意図を読み解き、各絵画のモチーフ、テーマ、筆致、色使いなどから、平子自身のコンセプトや技術に共鳴するポイントを探り、それを新作絵画に取り入れていった。まずは習作(縦1.1m 横3.3m)を制作。最終的には4枚パネルの巨大な絵画(各縦3.3m 横2.5m/合計縦3.3m 横10m)に挑戦するという。新作絵画には過去や現在の自然、平子がインスパイアされた様々な作品の細部を取り込んだ光景、挑戦する自分自身の肖像・・・・・・、そうしたものが描き出されることだろう。

平子雄一 《本展新作絵画アイデアスケッチ》 2022年 鉛筆、紙 作家蔵

最後に「再生」。会場には、平子の新作絵画と美術館のコレクション作品10点が展示される。コレクションには通常の作品解説パネルとともに、平子が新作を制作する過程で生まれた、各絵画に関するメモやテキスト、色チャートなどが並ぶ。過去の作品を平子がどう見たか、それを新作の製作にどう生かしたか。アーティストとしての視点や考え方が見る人たちに分かりやすく提示されることになりそうだ。

(美術展ナビ取材班)

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