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Saturday, December 5, 2020

情報公開請求、1人で月最大752件…町が「業務に支障」と賠償請求 - 読売新聞

 大量の情報公開請求などで業務に支障が生じているとして、岐阜県安八町が、請求者の町民に損害賠償などを求める民事調停を大垣簡裁に申し立てたことが、議論を呼んでいる。町は「知る権利の乱用」を主張、町民は「公金支出のチェックには必要」と反論。有識者は町に同情しながらも、「公開請求に尻込みする人が増える」と悪影響を懸念している。(野村順)

 この町民は40歳代の会社員男性。申立書や町によると、2017年3月から20年7月にかけ、情報公開請求4830件、行政不服審査請求3715件、住民監査請求287件を行った。情報公開請求は18年春頃から顕著に増え、19年9月は最多の752件に上った。ここ1~2年の年間の情報公開請求件数は、ほぼ大半が男性によるものだという。

 町はこれまで総務課危機管理室の職員3人で対応。だが、処理案件が山積みとなり、「職員はパニック状態に陥っている」と説明。防災などの業務にも影響が出ているという。

 町は「権利の乱用は明らかで、町が平穏に業務を遂行する権利を侵害している」と判断。10月2日付で請求者の町民に1000万円の損害賠償などを求める民事調停を大垣簡裁に申し立てた。〈1〉人件費など1000万円の損害賠償〈2〉未処理となっている情報公開請求約2000件の取り下げ〈3〉今後は乱用的な請求を行わないこと――を求めている。初回の調停は11月20日にあり、次回は来年2月に行われる予定だ。

 これに対し、男性は「申し立ては不当」と胸を張る。男性によると、最初、情報公開請求で消防団の会計処理を調べたところ、数年間にわたってずさんなケースがあったことが判明。役場の体質に疑問と不安を感じ、全体を徹底的に調べることにしたという。

 実際、こうした男性の行動で、職員らの懇親会での過大支出など不適正な行政管理の実態が次々と明るみに出ている。

 町は昨年9月に情報公開条例を改正。請求1件当たり200円の手数料を設け、「権利の乱用に当たる場合」は拒否できるようにした。男性は「それまで一度も非開示となったことはない。町が指摘する窮状についても知らされたことはなく、調停の申し立ては唐突だ」と批判する。

 ただ、男性による情報公開請求件数は昨年度だけで3282件に上る。近隣自治体の昨年度の件数は輪之内町で0件、人口が10倍超ある大垣市でも337件に過ぎず、単純に比較すれば多い。

 神奈川県の逗子市長を務めた富野暉一郎・龍谷大名誉教授(地方自治論)は、小規模自治体には厳しいものがあると同情し、「一人の請求のために他者の請求に応えられなかったり、他の業務に手が回らなくなったりするのは問題」とする。

 その上で、賠償請求は乱暴過ぎると問題視。請求者と日頃から話し合いを持つべきだったとし、乱用の基準を具体的に定めて公開することを提唱する。

 一方、全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)事務局長の新海聡弁護士は「請求だけして文書の写しを取りに来ないなどのケースならともかく、件数が大量というだけでは、権利の乱用ではない」ときっぱり。町による賠償請求には「情報公開制度の利用者を萎縮いしゅくさせてしまう」と指摘する。

 堀正町長は「苦渋の決断。実情を分かってもらうよう、話し合いで解決したい」と話す。

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December 06, 2020 at 07:39AM
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