内閣府は、災害時に自治体が出す「避難勧告」を廃止し「避難指示」に一本化する方針を打ち出した。分かりにくさを解消し、逃げ遅れを減らす狙いという。避難情報のあり方は今後も模索してほしい。
避難勧告と避難指示は、行政による避難情報が乏しかった伊勢湾台風を教訓に、一九六一年に制定された災害対策基本法に盛り込まれた。「どちらが危険?」という分かりにくさが半世紀以上続いていたことになる。
内閣府によると、避難勧告は「住民はすぐに避難を始める必要がある」という意味。避難指示は、より危険度が高く「重ねて避難を促す」との呼び掛けである。
昨年の台風19号被災地でのアンケート(対象者三千人)では、こうした両者の意味を正しく理解していた人はわずか18%。被災地で行われた別の調査(同五百六十人)では「避難指示が避難勧告より危険度が高い」と正しく答えられた回答は51%にとどまった。
政府は昨年、大雨時の災害の危険度や住民の取るべき行動を五段階の「警戒レベル」で発表する運用を始めたが、避難勧告も避難指示も同じ「レベル4」。自治体などからは「違いが分かりにくい」「避難指示は発令に至らない場合もあり住民がいつまでも避難しないおそれも」と指摘されていた。
現行の避難勧告の時点で避難指示を出して一本化する。さらに、一段階上で最も危険度が高い「レベル5」に「避難指示より切迫感があり、違いの分かりにくさを招かない」呼称の新設を検討するという。せっかく一本化するのだから屋上屋にならぬよう求めたい。
来年の通常国会で災対法の改正案として提出されるという。つまり今年、豪雨や台風災害があっても「指示」「勧告」の二本立てで対応することになる。水害は常態化しつつあり、法改正の前に運用で改めるなど、より早い見直しができないかも検討してほしい。
一方、気象庁は「大雨特別警報」の精度を上げるため、発表の際の基準を改め、順次運用を始めた。正確さが増すのは歓迎だが、何のための特別警報かは判然としない。同庁は二〇一三年の創設時はホームページで「住民の迅速な避難のため」としていたが、最近の豪雨の際には「避難のための情報ではない。発表前に避難を終えていてほしい」と強調する。
分かりにくさは氷解していない。災害情報は、伝えたいメッセージが住民にしっかり届くことこそが、肝心である。
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