日本電気株式会社(以下、NEC)は26日、Twitter上の災害に関する膨大な情報をリアルタイムで解析・可視化するソリューション「高度自然言語処理プラットフォーム」を製品化し、同日から販売活動を開始すると発表した。
この発表に合わせて、NECとTwitter Japan株式会社、株式会社NTTデータの合同オンライン説明会が行われ、新ソリューションの概要や災害時におけるSNS活用の取り組みなどについて説明した。
今回NECが発表した「高度自然言語処理プラットフォーム」は、Twitterに投稿された被災状況や避難場所の情報をリアルタイムで収集・解析し、地域の被害状況把握や危機対応に必要な情報を可視化するもの。解析するTwitterデータは、TwitterオフィシャルパートナーであるNTTデータから提供を受ける。これにより、自治体や官庁、一般企業の災害対応に従事する部門での情報収集・整理にかかる作業を省力化するとともに、有事における状況判断や意思決定を支援するという。
まず、NECの防災事業の取り組みについて、NEC 第一都市インフラソリューション事業部 事業部長代理の松尾達宏氏は、「NECでは、海底ケーブルから衛星まで幅広いインフラソリューションを通じ、安全・安心・効率・公平な都市づくりに尽力している。その中で第一都市インフラソリューション事業部は、防災・消防にかかわるインフラをICT化し、それを活用してより安心で安全な強い日本の実現に向けて事業展開を進めている。今回の新ソリューションもその一環であり、今まで見えにくかった災害情報をわかりやすい形にして、住民にとって役立つ情報として伝えていけるよう取り組んでいく」と述べた。
またNEC 第一都市インフラソリューション事業部 新事業推進グループ 主任の伊熊結以氏は、「高度自然言語処理プラットフォーム」を提供する背景について、「近年、市民が投稿したSNSなどを調査して災害情報を収集する自治体や官庁、一般企業などの危機管理部門が増えているが、SNSの情報量は非常に多く、正確ではない情報も含まれているため、必要な情報のみを判断・取得することが難しいという課題があった。また、災害時には、限られた人員で情報収集を行う必要があり、情報が収集できたとしても、それを意思決定などに利活用する手法は確立されていなかった。今回の新たなプラットフォームを活用することで、こうした課題を解消し、Twitterデータから災害情報の収集・分析・要約をリアルタイムで行うことが可能になる」としている。
「高度自然言語処理プラットフォーム」の主な特徴としては、「いち早く被災現場の状況を把握」、「事象の発生場所や種類ごとに地図上で俯瞰(ふかん)」、「正確でない情報を検知」の3つを挙げた。
具体的には、次々と投稿されるTwitter上の情報を収集・抽出し、「いつ」「どこで」「どのような事象や被害が発生しているか」を、AIがリアルタイムに解析して選択した場所の被害状況を可視化する。これにより、利用者は情報収集・整理にかかる時間・工数を軽減するとともに、いち早く被災現場の状況を把握することができる。
このAIには、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発した自然言語処理エンジンである対災害SNS情報分析システム「DISAANA」と災害状況要約システム「D-SUMM」を基に、総務省の2017年度-2019年度「IoT/BD/AI情報通信プラットフォーム」社会実装推進事業の受託者であるアビームコンサルティングが研究開発した成果に加え、NECが独自で機能改良を実施したソフトウェアを搭載しているという。
また、直感的でわかりやすいインターフェイスを採用しており、投稿数の多い地域を時系列に沿って、地域ごとや事象の種類ごとに地図上に表示し、優先順位や全体最適を考慮した状況判断や意思決定が可能。災害発生直後の混乱時などに、情報の空白地帯となった地域に対してSNSからの情報を活用して早期に状況把握を支援することができる。
さらに、情報の重要度を解析し、正確ではない可能性がある投稿を検知する。高度自然言語処理技術に加えて、防災関係の語彙(ごい)辞書や過去の災害情報を基に構築した学習データを用いており、重要度を考慮した情報を利用者へ通知することができる。さらに、同一地域と時間帯で矛盾した、正確ではない可能性がある投稿を、自動で検知することも可能となっている。
Twitter Japan Developer and Enterprise Solution アジア地域アライアンス事業リードの後藤和枝氏は、「近年、国内では著名人や識者などインフルエンサーによるTwitterの利用が増えており、行政と市民がTwitterを介して被災情報をやり取りするといった新しいコミュニケーションも生まれてきている」と前置き。
「今回のNECのソリューションは、こうしたTwitterの新たな可能性と社会インフラのニーズを組み合わせ、新しい価値を創出する取り組みであり、防災・減災の視点からTwitterデータを役立ててもらえると期待している。またNECは、国内唯一のTwitterオフィシャルパートナーであるNTTデータとSIパートナーシップを結んでいる。これにより、当社のポリシーに準じて、企業や自治体に安心してTwitterデータを利用してもらえるエンタープライズの仕組みを具現化できた。今回のプラットフォームを通じて、日本の社会インフラのイノベーションを支援していきたい」との考えを示した。
NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 マーケティングデザイン統括部 デジタルマーケティング担当 課長代理の伊東大輔氏は、NECとのSIパートナーシップについて、「当社は、2006年からTwitterの全量データをリアルタイムに受領し、API経由で顧客に提供するインフラを構築している。従来、NECの顧客に対しては、当社が直接Twitterデータを提供していたが、SIパートナーシップを結んだことで、NECが自社サービスとして顧客にデータ提供することが可能となった。また、NECによる提案の検討や社内検証用にも全量Twitterデータを利用できるようになった。そして今回、当社が持つさまざまなTwitterデータ活用事例と必要なデータをNECに提供し、これにNECが持つ最先端技術適用のアイデアを組み合わせることで、新たな価値を提供するソリューションが実現した」と説明した。
「高度自然言語処理プラットフォーム」のサービスメニューは、「GUI利用サービス」(クラウド)と「解析結果データ配信サービス」の2パターンの利用形態を用意している。「GUI利用サービス」の利用料金は、1アカウント初期費20万円、月額利用料5万円から。「解析結果データ配信サービス」は個別見積もりとなる。提供開始は7月からの予定。4年間で160アカウントの提供を目標としている。
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June 29, 2020 at 04:00AM
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Twitter上の災害関連情報を解析・可視化――、NECが新ソリューションを提供 - クラウド Watch
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