兵庫県内の自治体が新型コロナウイルス感染症で亡くなった人を発表する際、個人の属性情報を非公表にする事例が増えている。「遺族の意向」を理由とし、4月以降の死者21人中11人は年代や性別が分からず、陽性者の20人以上も職業などを明らかにしていない。背景には感染者に対する偏見や差別がある。一方、情報の開示が感染拡大を防ぐ効果もあり、判断は「ぎりぎりのしのぎあい」(県担当者)という。(井川朋宏、杉山雅崇)
3月の間は、県と姫路、西宮市は亡くなった11人について、居住市町(一部は健康福祉事務所管内)と年代、性別のほか、症状の変遷や接触者に関する情報も説明していた。しかし、4月12日に神戸市が市内初の死亡者の年代と性別を非公表にすると、県と西宮、姫路市も17日以降は相次いで、計5人の年代と性別、居住市町を伏せた。
県の担当者は4月の会見で「大切な家族を亡くした遺族に質問しづらく、公表の了承を得るのは難しかった」と説明。神戸市は年代と性別は原則公表する方針だが、「遺族の強い意向による」として、8人中6人は明らかにしなかった。
また、県や神戸市などは4月以降に新たな感染者を発表時、16人は職業を示さず、10人は居住地を非公表または「市外」とし、1人は年代も明かさなかった。神戸市は医療機関のクラスター(感染者集団)関連を除くと、多くの場合、感染経路とみられる濃厚接触者の属性や関係性についても公表していない。
こうした変化の一因に、県疾病対策課は、4月以降の若い感染者の増加を挙げる。3月は伊丹市の介護施設や姫路市の精神科病院などのクラスターが発生。高齢の関係者は、自らが被害者である意識が強かった。これに対し、行動範囲の広い40代までの若年層は「『会食したのが悪い』などと加害者扱いをされる」として非難を恐れる傾向があり、保健師らの聞き取りが難しいという。
実際、感染者が差別されて転居や退職を余儀なくされたケースもあり、県は個人情報の公表基準を「公衆衛生上で感染症の蔓延(まんえん)防止に必要な場合」としている。
一方で、県は4月下旬から、発表から2週間程度を経て個人が特定される恐れがなければ、「健康福祉事務所管内」で通してきた感染者の居住地を、居住市町まで示す発表方法に変更。非公表にした死者の情報も、分析のデータとしては反映させる考えで、手探りでの検討が続いている。
■感染者や関係者ら後絶たぬ風評被害
新型コロナウイルスの感染者や感染が起きた施設職員らへの偏見や差別も広がっている。検査や治療の最前線に立つ医療関係者らも「ばい菌」扱いする言動にさらされ、家族を含めて不当な被害に遭っている。
兵庫県内では、医師ら感染者5人が確認された北播磨総合医療センター(小野市)は3月、ホームページで病院職員や家族、患者らに対する「誹謗(ひぼう)中傷・風評被害」に関する実態を訴えた。職員がタクシーに乗車を拒否され、引っ越しを業者にキャンセルされたという。
また、日本看護協会にも、感染症患者を受け入れる医療機関の看護師が、なじみの飲食店から来店を断られたり、子どもが保育園に来ないよう求められたりした事例が報告された。
インターネット上での中傷も後を絶たない。市内の病院で集団感染が続く神戸市は「誰もが感染者や濃厚接触者になりうる」として「冷静な行動で、ネガティブな『気持ちの感染』が広がるのを防ぎましょう」と呼び掛ける。同市は平日午前8時45分~午後5時半、被害を受けた人向けの相談窓口(TEL078・322・5234)を設置している。(井川朋宏)
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May 09, 2020 at 04:30AM
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コロナ感染の個人情報、非公表拡大 「偏見、差別」懸念 - 神戸新聞
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