米ニューヨークで生まれ育ったアジア系米国人アーティストの村上聖司さん(24)が1月、和紙作りを学ぶために来日し、埼玉県ときがわ町の和紙工房「手漉(す)き和紙たにの」で見習いとして修業を積んでいる。並行して芸術活動も行う村上さんは、「アメリカに和紙を作る場所はない。(名刹(めいさつ)の)慈光寺など歴史や自然のある町で、和紙作りを学べてうれしい」と笑顔で語る。(足立優作)
中国人の母親の影響で幼少期から折り紙が趣味だったという村上さん。折り紙が伝統文化となっている日本で、和紙を使った作品を原料から作りたいと思い、5年ほど前に同工房で3カ月ほど研修を受けた。米国に戻りコロンビア大学を卒業した後、改めて修業を積むために福井や岐阜などの8工房へ連絡。再び「たにの」から受け入れの返答があり、今年1月から1年間受け入れてもらうことになった。
工房ではこれまで、外国からの研修生10人ほどを受け入れたが、いずれも1~3カ月の短期で、年単位の受け入れは初。工房を主宰する谷野裕子さん(65)は「以前研修に来た際、一生懸命で、地域の人とも積極的に交流していた」と受け入れの決め手を語る。
工房での和紙作りについて村上さんは「原料であるコウゾの皮剝ぎや、皮に残っているちりをとる作業は集中できて気持ちが落ち着く。一方で、漉く作業はシンプルだが難しく、習得に時間が必要で、仏教の座禅と似ている」とその奥深さを語る。
4月20日には、同町の霊山院(りょうぜんいん)で開催された和紙アートの展示会にも出品。高さ3メートル、幅7メートル、奥行き3メートルという大きさの作品は工房の同僚ら5人と9メートル四方の和紙を漉き、切ってひも状に丸めて結ぶなどして制作した。和紙が交差する様子は、日本での修業などを通して経験した人との出会いと別れ、工房で見かけたクモの巣から着想を得たといい、タイトルは「and then(その後)」とした。
村上さんは「今後も和紙を使った作品を作り続けたい」と意気込みを語る。今秋には来年の「春日部大凧(だこ)あげ祭り」で使われる和紙作りに携わる。また、今月18~26日には東京都杉並区西荻北3の「ギャラリー数寄和(すきわ)」の展覧会「as if-13名の美術家が音楽を表現してみた」で作品が展示される予定。午後1~7時。入場無料。
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