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Thursday, October 26, 2023

毛利悠子創造の生まれる場所、アーティストのスタジオへ vol.1 - GQ JAPAN

bintangsef.blogspot.com

最近の興味は、ヴィンテージスピーカーの蒐集。自身が講師を務める東京藝術大学内のアトリエには、過去の作品や新作のための試作品が所狭しと並ぶなか、巨大なスピーカーが置かれていた。「昔のスピーカーは、電力が大きい分、高音、中音、低音を別々に出力するように設計されていて、音質がいいんです」。近頃は《Decomposition》でもこうしたスピーカーを使用する。「こ
の作品はフルーツが腐ったり、乾燥したりしても音が変化していく。ヴィンテージのスピーカーだとそれがドラマ ティックに感じられるんです」

2024年は毛利にとって重要な一年になるはずだ。来年、現代美術の最も権威のある国際展のひとつ「ヴェネチア・ビエンナーレ」に参加する。作品テーマは「水」。「水はこれまでの作品でも使ってきた素材です。ただ、ちょうど今年アトリエの近くに借りていた作品倉庫が水害にあってしまったんです。また近年はヴェニスもたびたび洪水に見舞われています。よりリアルになった気象災害についての関心も肉付けして作品制作を考えています」。また水は、近年、現代美術の国際展でもテーマとされる、今日的な主題でもあると言う。「昨年、参加した『シドニー・ビエンナーレ』は川を意味する“Rīvus”を、韓国の「光州ビエンナーレ」は老子の言葉“Soft and weak like water(天下に水より柔軟なるは莫し)”をテーマにしていました。不安定でとっ散らかった、定まらない世界とどう向き合うか。それを流動的な水をキーワードに提示しようとしているのだと思います」。そうした流動性や定まらなさは毛利自身がずっとテーマにしてきたことでもあった。ヴェニスでの展示への期待が集まる。

最近蒐集しているヴィンテージスピーカー。

毛利悠子

1980年生まれ、神奈川県出身。これまでの主な展覧会に「光州ビエンナーレ」(2023年)、「Japanorama:New vision on art since 1970」(2017年、ポンピドゥー・センター=メッス)。来年4月20日に開幕する第60回「ヴェネチア・ビエンナーレ」に日本館代表作家として参加する。

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