現代美術史の正統な担い手として、国際的に高く評価されるイケムラレイコ。1973年にスペインに渡り、スイス、ドイツと拠点を移す度に、それまでの言語を一旦手放し、新しい言葉で堅牢なヨーロッパ社会に向き合いながら独自の作品世界を築いてきた。この10年、破綻に向かう西洋中心の世界を予感し、生きるものすべての未来像に視線を送ろうとしている。
再生と循環の世界観に基づく、新しい神話。
イケムラレイコ
LEIKO IKEMURA
三重県生まれ。現在はベルリン拠点。2020年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2019年バーゼル美術館『Toward New Seas イケムラレイコ 新しい海へ』、国立新美術館『土と星 Our Planet』など個展多数。
諦念より怒り、それをヒカリに変えたい。いまこそ、信念と愛に詩のパワーを与えたい
「第二次大戦後に、我々が立ち上げた平和と進歩のビジョンは、再び崩れようとしています。利益と権力を目的に、すべてを破壊しようとする暴力の繰り返しは傍観に耐えず、我々は何をすべきなのかという課題に突き当たります。不安な時代だからこそ、大きなうねりの中でこの危機を捉えていきたい。この世の揺らぎを受け止め、目を洗いたい。何が起こりうるかを見つめ、心情を清めながら。諦念より怒り、それをヒカリに変えたい。いまこそ、信念と愛に詩のパワーを与えたいと考えます」
イケムラ自身は人生の中で他者との信頼関係や豊かな感情を大切にしながら、同時に「孤独」を価値あるものとして大切にしてきた。
「人は生まれるのもひとり、この世を去るのもひとり。この不安が共同体を作り、生き延びる方法として、持ちつ持たれつの人間関係を作っていく。しかし、孤独の風は隙間に吹いてくる。それを追い払うのでなく受け入れることで、神秘の世界とその美しさを経験できるのだと思います。人は愛に飢え、繋がりを求め、葛藤してゆく。その不条理はいつも大きな課題として疑問を投げかけます。私は、ペインティングの秘境は孤独と真摯に向き合うことだと体験しています。根源に降りてゆくには避けられないこと。その体験が真の繋がりを可能にするでしょう」と話す。「個」を存在の証しとして表現してきた彼女が、この理不尽な世界に送り続けるのは、再生と循環の世界観に基づいた、みずみずしく真新しい神話である。
会期:開催中〜9/26
国立新美術館(東京・六本木)
営)10:00~18:00(金、土は~20:00)
休)火
料)一般¥2,000
●問い合わせ先:
tel : 050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.nact.jp
会期:10/14〜2023/1/22
京都国立近代美術館(京都・岡崎)
営)10:00~18:00(金は~ 20:00)
休)月
料)未定
●問い合わせ先:
tel : 075-761-4111
https://ludwig.exhn.jp
*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋
からの記事と詳細 ( アーティスト、イケムラレイコが観る世界の生まれ変わり。|Culture|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン) - フィガロジャポン )
https://ift.tt/huyoKTZ
No comments:
Post a Comment