2022年4月、全国の高校で情報モラルやプログラミング、データ活用などを学ぶ「情報Ⅰ」が必修科目になる。来春入学した生徒が受験する2025年の大学入学共通テストにも、情報Ⅰを出題範囲とする新教科「情報」が導入されるが、一口に「情報」と言っても、分かったようでよく分からない。いったい何を、どのように学ぶのか。(時事通信社会部 谷川つぐみ)
◇高校で情報、03年から
情報を扱う科目自体は2003年度に高校の授業に導入された。パソコンのない小・中学校もあった当時、コンピューターの使い方を学ぶ「情報A」、プログラミングを扱う「情報B」、情報を適切に判断・活用する情報リテラシーなどを身に着けるための「情報C」の3科目のうち、いずれか一つが必修とされ、7割の高校が情報A、1割がB、2割がCを選んだ。
必修化は学校で教える最低限の内容を示す学習指導要領の改定によるもので、13年度からは情報Bが「情報の科学」、情報Cが「社会と情報」に改められ、情報Aの内容はこの2科目に吸収された。文部科学省によると、「情報の科学」を教える高校は2割にとどまり、8割は「社会と情報」を選択。このため22年度からは、より高度なIT人材を育成しようと、2科目を一つにした「情報Ⅰ」を全高校生の必修科目にしたという。
◇現場では
指導要領によると、情報Ⅰが扱う内容は大きく四つに分けられている。「情報社会の問題解決」、「コミュニケーションと情報デザイン」、それに「コンピューターとプログラミング」と「情報通信ネットワークとデータの活用」だ。
東京都立神代高校(東京都調布市)は指導要領改定を先取りし、「情報Ⅰ」を見据えた授業を実践していると聞いた。情報科担当の稲垣俊介教諭は大学卒業後に一般企業を経て「情報」の教員免許を取得したという。高校生が具体的にどのような勉強をしているのかを知りたくなった記者は神代高校に向かった。
21年11月中旬、高校1年生の「情報の科学」の授業をのぞいた。パソコン室に集まった生徒らは、ゲームとSNS利用時間を一覧表示した男女70人分のエクセルデータをダウンロード。まずはデータから読み取れることを書き出し、「女子の方がトータル利用時間が長いのでは」などと意見を出し合った。その後、生徒らは稲垣教諭が作成した動画を見ながら、ゲーム利用時間を横軸、SNS利用時間を縦軸とするグラフを作成。➀男子はゲーム時間が長いほどSNSの時間も長い➁女子はある一定のゲーム時間を超えると、SNS時間が減少に転じる―といった傾向を読み取り、議論を進めていた。
稲垣教諭は生徒自身のLINEやツイッター、インスタグラムなどSNS利用時間を記録・分析する授業も実施している。SNS利用時間を可視化することで使い過ぎに気付いたり、適切な付き合い方を学んだりでき、「情報モラル教育」の効果が期待できるという。
共通テストへの情報の出題についてどう思っているのか聞いてみた。稲垣教諭は「全国の高校の授業のレベルが一定以上に保たれることにつながる」と歓迎しつつ、「ただの入試対策のための授業に成り下がってしまわないよう、情報モラルなど、学校教育を行う一人として大切なことを生徒に伝えていきたい」と話した。
からの記事と詳細 ( 「情報」って何を教える?25年から大学入試にも:時事ドットコム - 時事通信 )
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