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Friday, April 2, 2021

「個人情報の保護、抜け落ちた」 デジタル法案、拙速審議に抗議の声 - 東京新聞

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 個人情報の目的外利用や、本人の同意なき収集が懸念される政府のデジタル改革関連法案が2日、衆院内閣委員会で可決された。個人情報の保護を強めることに加え、地方自治体が独自に定める条例の自由度が妨げられないよう、立憲民主党が提案した修正案は一部を除いてことごとく否決された。審議が拙速との批判も相次ぎ、国会の外では野党とともに市民団体が抗議の声を上げた。(清水俊介、井上峻輔)

◆「データの利活用推進ばかり」

 「政府案は、国や企業によるデータの利活用の推進に偏っており、個人情報保護をはじめとする個人の権利や利益の保護という観点が欠落している」

 2日の衆院内閣委で、提出した修正案を説明した立民の後藤祐一氏は、個人情報の目的外利用と本人の同意なき収集が政府案の問題点だと強調した。

 政府案は行政機関に「相当の理由」があれば、個人情報の目的外利用ができると定めており、後藤氏は修正案に盛り込んだ目的外利用の厳格化に関し「より限定的かつ慎重に行われるべきだ」と主張。個人情報保護を巡り、修正案の法の目的に明記した「個人情報の取り扱いについて自ら決定する権利の保障」については「政府案は自己決定権を認めないばかりか、法の目的に『個人情報を保護すること』という文言すら入れていない」と指摘した。

◆自治体の裁量権に制約、懸念消えず

 個人情報保護に関する地方自治体の裁量権が制約を受けるとの懸念も解消されなかった。

 政府案では、各府省や地方自治体の情報システムを統一・標準化し、国、地方自治体の個人情報保護制度を共通ルールに改める。全国に1700以上ある地方自治体は、政策判断や地域の事情に応じた個人情報保護条例を制定しており、衆院審議では統一化で自主性、独自性を損なうと繰り返し指摘されてきた。

 このため修正案は、政府案が「義務」としているシステム共同化の推進を「努力義務」に緩めた。地域の事情に応じ、地方自治体が条例で必要な規定を定められることを担保する条文も明記した。

 だが、9項目の修正案のうち、8項目は否決。可決されたのは、デジタル活用で是正すべき格差の「身体的な条件」を「障害の有無等の心身の状態」と改めるものだけだ。

◆参院での議論「注視したい」

 政府案は6法案の計64本で構成され、このうち5法案・63本を一括して衆院内閣委で取り扱ったことにも野党は反発したが、27時間25分の審議で採決された。

 政府案に反対する市民団体は2日、立民や共産党の議員らと国会周辺で集会を開催。共産の本村伸子衆院議員は「膨大な法案にふさわしい十分な審議をしないで採決されたことに抗議したい」と訴えた。

 関連法案は来週中に衆院本会議で採決される見通しで、議論の場は参院に移る。市民団体のメンバーの男性は「さまざまな問題のある法案が短時間で採決されたが、きちんとした議論が行われるよう注視したい」と話した。

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