作家・江上 剛
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)対策で、ようやくワクチン接種が具体化し始めた。
これに関して政府は、マイナンバーを活用しようとしている。
マイナンバーは、住民票のある全員に割り当てられているが、マイナンバーカードとなると、2020年7月現在で普及率は17.5%でしかない。
10万円の特別定額給付金をオンライン申請で受給するために、自分のマイナンバーカードの暗証番号を確認しようと、区役所に人が殺到したことが記憶に新しい。
◆ワクチン接種に活用
日本経済新聞(21年1月24日付)に「ワクチン接種一元管理 今春、マイナンバーと連携」という記事が掲載されている。
内容は、ワクチン接種状況を一元管理するために、マイナンバーシステムと連携させる仕組みをつくり、春ごろの稼働を目指すというもの。
記事によると、住民にワクチン接種クーポンが配布され、それを持参して接種を受ける。クーポンのバーコードを読み込み、このデータがマイナンバーと連携し、接種状況を管理するという。
マイナンバーカードを取得する必要はないようだが、このワクチン接種によって、何に役に立つのか、はっきりしなかったマイナンバーやマイナンバーカードの普及が、一気に進むことも考えられる。
マイナンバーカードが普及しなかったのは、金融機関などの個人口座にひも付けられ、財産を捕捉されてしまうからだという噂(うわさ)がまことしやかにささやかれていた。
特に普及に反対しているのは、政治資金を捕捉されたくない政治家だという尾ひれまで付いていた。これが本当だとすると、何をか言わんやである。
しかし、実際のところ、マイナンバーカードが普及しないのは、国民が政府に個人情報を管理されたくないという思いが強いからだ。
中国のような監視社会の恐ろしさを見せつけられると、あんなふうにはなりたくないと思うのは当然だ。
国民を管理したい政府と、管理されたくない国民との対立の溝を埋めたのが、新型コロナのパンデミックだ。
10万円の特別給付金も欲しい、ワクチンも接種してほしい。それならば、政府に管理されるのも仕方がない。政府は、これをきっかけに一気にマイナンバーカードを普及させ、国民を管理下に置こう…。
政府は、マイナンバーの活用はワクチン接種に限るとしているようだが、疑い深い国民が、果たしてそれを信用するだろうか。
そうはいうものの、マイナンバーカードを持っているか否かで、行政サービスが変わるとなれば、普及していく可能性は高い。そうなると、なし崩し的に国民の管理が進むだろうと想像される。
からの記事と詳細 ( 政府の個人情報管理はどこまでなら許せるか、今こそ考えよう【怒れるガバナンス】:時事ドットコム - 時事通信 )
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