~アメリカ・インドネシア・日本のアーティストと市民が交流し一緒に常滑の「ひと・もの・まち」に触れる50日間~
愛知県常滑市で常滑市制70周年特別記念事業の一環として実施するアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「TOUCH!TOKONAME」の招へいアーティストとして、656件の応募者の中から、アメリカ・インドネシア・日本のアーティスト3組を選出しました。市民・専門家による審査を経て選ばれた3組のアーティストは2024年9月12日~10月31日の間、常滑市内に滞在し、市内の工房で創作活動等を行う他、市民との交流プログラムとして子どもたちによる町案内、ホームステイ、地域のつくり手によるワークショップ、アーティストのスタジオ公開、成果発表会などを行います。
アメリカ・インドネシア・日本から参加するアーティストをご紹介します
リリー・クラークさん(アメリカ、女性、30歳/陶芸)
アメリカ・ロサンゼルス出身。グラフィックデザインと陶芸を専攻。水の動きを表現テーマとして、セラミック、石、金属などを使いながら作品を制作する。アメリカやギリシャで個展やグループ展を開催。2022年に群馬県藤岡市鬼石のシロオニ・スタジオのレジデンスに参加。日本の水琴窟に関心を持つ。
https://lily-clark.com/
クルトゥラ・コレクティバ(インドネシア、コレクティブ/テキスタイル)
ディアス・プラブ(男性、36歳)、デウィ・ブキット (女性、42歳)、クリスチャン・シヒテ(男性、28歳)の3名によるインドネシアのアート・コレクティブ。伝統文化と現代美術の融合をテーマに、バティック(ろうけつ染め)の手法を用いて制作する。オーストラリアやアメリカでも展覧会やワークショップなどを行う。
https://www.instagram.com/kultura_collectiva/
金子未弥さん(日本、女性、34歳/パフォーマンス・平面・立体)
神奈川県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了、博士号取得。
「人の記憶も都市を構成する要素であるならば」という考えのもと、多様な手法で都市を追求した作品を発表している。受賞歴に「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」準グランプリ受賞など。
https://www.miyakaneko.com/
招へいアーティスト専門家審査会 講評(50音順)
勝冶 真美氏:滋賀県立陶芸の森(元京都市アーティスト・イン・レジデンス連携拠点事業コーディネーター)
「TOUCH!TOKONAME」のアーティスト・イン・レジデンスプログラムは予想以上の600件を超える応募を得ました。陶芸に限らず幅広いジャンルのアーティストによる意欲的な申請書類を前にして、難しい審査となりましたが、結果として常滑に清新な視点をもたらしてくれることを期待させる3組を採択しました。
リリー・クラークさんは、陶をはじめ石や金属などさまざまな素材を用いながら、流体の動きを可視化する作品を手掛けています。常滑の産業としての歴史や地理的特徴は、水の流れを制御するための陶器のあり方を学びたいという彼女の応募動機にマッチしており、充実した滞在制作ができるのではないかと考えました。
インドネシアのアートコレクティブ・クルトゥラ・コレクティバは、伝統的なバティック技法を用いながら、歴史や記憶、社会文化を参照し物語を布地に描き出します。伝統的な技法を活かしつつもポップカルチャーとの接続を試みる彼らが、常滑の人々や作家たちと出会うことでどんな化学反応が起こるのか、期待しています。
金子未弥さんは、小さな声に耳を傾け、個人の記憶を集めることで、都市のイメージを再創造させるような作品を制作しています。市制70周年という記念年に、大文字の歴史には残らない人々の記憶地図を辿るプロジェクトを実施することに必然性を感じました。金子さんは各地でこのプロジェクトを継続的に実施していますが、今回、陶という素材が作品にどのような変化をもたらすのかも楽しみにしたいと思います。
崔 宰熏氏:愛知県立芸術大学教授
陶芸をはじめ、空間芸術、彫刻、映像、パフォーマンスなど様々なジャンルから国内外656件の応募があったことに驚いた。市民審査を終えて50組に絞られたところから審査員による審査が始まった。審査員それぞれ専門分野が異なることで評価が分かれたこともあった。各自が評価する理由などを共有し合うことで新たな気づきが生まれ評価を調整する場面もあったが、どの作家を選んでも良い程のレベルであったことは嬉しい限りであった。最終的には3組の作家が選ばれた。
リリー・クラークさんは、多様な素材を用いて水との関係を通して水が持つ躍動性とそれによって変化する素材の表情に刻まれていく時間と記憶を表現している。常滑の風土に触れ、「陶」・「水」・「音」が響き合う景色の表現に期待する。
クルトゥラ・コレクティバは、インドネシアの伝統的なドローイングバティック技法を用いて伝統や文化に基づいた物語を大規模な布地に手書きで表現する作家を中心としたコレクティブ。滞在期間中に常滑の人々の暮らしや文化に触れ生まれる彼らの物語と表現には興味が湧く。
金子未弥さんは、ミクロな「声」に耳を傾け、その連続した集積からマクロの世界を創り上げるという創作行為により、場所の「肖像」を描く作品を発表しているアーティスト。ミクロとマクロが共存している常滑の独特な街並み風景とそこに暮らす人々の暮らしに触れるときどのような「今の常滑の肖像」が現れるのか楽しみである。
選ばれた作家たちが常滑の地で様々な環境や文化に触れ、人々との交わりを深め自作における新たな表現に取り組むことを期待している。また、その作家さんの制作表現を目の当たりにして常滑の作家や市民の方々が新しい可能性に気づく良い機会となることを願ってやまない。
外舘 和子氏:工芸評論家・多摩美術大学教授
常滑市制70周年記念事業アーティスト・イン・レジデンス・プログラム「TOUCH! TOKONAME」には、世界各地の様々なジャンルのアーティスト656組の応募があった。中世以来の窯業地常滑は、今、世界のアーティストの関心を集める地域なのである。ジャンルが多岐にわたるため選考には時間を要したが、私を含め、審査員一同、丁寧な議論と投票を重ねた結果、次の3組が選ばれた。
アメリカのリリー・クラークさんは、様々な造形経験を有し、今回は「音」や「水」の要素を取り入れ、常滑の風土を存分に生かした表現を実現してくれることが期待される。常滑市民や観光客と共に、常滑の良さを地域の中で再発見できそうである。
インドネシアのクルトゥラ・コレクティバは3人でチームを組み、常滑で入手できる材料も用いた染色作品の制作を計画している。常滑の風土や人々との交流が、どのように作品に結実し、生まれた作品がどのように常滑の空間を飾るのか楽しみである。
日本の金子未弥さんは、常滑の人々の内に潜む様々な記憶の聴きとりを重ね、常滑の土地に宿る記憶をやきものを手段に立体的な風景へ展開しようとしている。市民との積極的な対話が制作のカギとなるだろう。
3者に対してはいずれも、優れた成果物としての作品を期待するだけでなく、作品を作り上げていくプロセスを大事にして欲しい。また今回惜しくも選外となったアーティストも、今回の応募をきっかけに常滑を訪れてくれることを願う。
レジデンス事業は、招待アーティスト個人の資質もさることながら、彼らを受け入れる地域の人々の関心や交流の仕方次第で、より充実し、活気も生まれる。この事業を通してやきものの町「常滑」が国際的な文化都市として世界に発信していくことを楽しみにしている。
服部 浩之氏:キュレーター/東京藝術大学准教授、国際芸術センター青森館長
はじめて実施されるアーティスト・イン・レジデンス事業に対して600件を超えるたくさんのご応募をいただいたことは、私の想像をはるかに凌ぐ驚きでした。陶芸の長い歴史をもつ土地の特性を大切にし、地域や人との交流に重点をおく独特な事業の価値観や態度をよく理解したうえで、この状況だからこそ実現すべき制作プランや活動を提案してくれたアーティストが多く、選考には苦慮しました。
水琴窟に着想を得てそれを拡張する噴水を愛知産テラコッタで実現しようと試みるリリー・クラークさんは陶表現の可能性を拡張する実験性が、クルトゥラ・コレクティバはインドネシアの伝統的な臈纈(ろうけつ)染め技法のバティックにより、常滑という土地にまつわる物語を定着させる融合の精神とコレクティブによる爆発力への期待が、そして金子未弥さんは「常滑の風景を構成する窯の煙突そのものも焼き物であることに感動を覚えた」という感覚をもとに陶によりこの場所の肖像を描き出そうという姿勢が評価されました。
全く異なる背景、技術、経験をもつ三組のアーティストたちがどのように常滑に触れ、人々を触発し、彼らもまた触発されるか、期待が高まります。
今後のスケジュール
事業期間:2024年6月~10月
アーティスト滞在期間:2024年9月12日(木)~10月31日(木)
企画説明会 5月11日(土) 会場:常滑市役所
市民ダイアローグ(プレイベント) 6月15日(土)、7月6日(土) 会場:常々 TSUNEZUNE
こどもまちガイドツアー 2024年9月15日(日)
ホームステイ 2024年9月21日~9月23日(2泊3日)
オープンスタジオ 2024年9月末
学校訪問 2024年10月中旬
成果発表展 2024年10月19日(土)~10月27日(日) 会場:常々 TSUNEZUNE他
問い合わせ先
アーティスト・イン・レジデンス・プログラム「TOUCH!TOKONAME」運営事務局
(CROSS ART TOKONAME)担当者:福島・片岡
touch.tokoname@gmail.com(一般問い合わせ先)
info@cross-art-tokoname.com(メディア問い合わせ先)
https://www.cross-art-tokoname.com
Instagram: @cross_art_tokoname
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