何世紀もの間、アーティストは生活費を稼ぐのに苦労してきた。クリエーティブな仕事が天職だったとしても、リッチでもない限り、キャリアのスタート時に前進するのは難しいだろう。ただ、うまくいっていなかったとしても、それはアーティスト活動に価値がないということではない。
それを分かっているのか、アイルランド政府は、アーティストたちがより高いレベルで活動できるようベーシックインカムを提供しようとしている。その額は、1週間当たり325ユーロ(約4万4,700円)。2000人のアーティストに対し、3年間分が提供される予定だ。
これにより期待されるのが、アイルランドの文化セクターの活性化。同国首相であるミシェル・マーティンは、「アイルランドの芸術と文化は、その個性と多様性において、我々のアイデンティティーの源泉。芸術のためのベーシックインカムは、アーティストやクリエーターを支援し、将来にわたって芸術を繁栄させるためのまたとない機会だ」と語った。
この制度の目的は、「芸術に関する仕事が断続的や周期的、またプロジェクトベースであるが故に起こる収入の不安定さに対処する」こと。アーティストたちが、長年直面してきた問題について、かなり対応している制度になったといえる。また、この取り組みに投入される金額は、2,500万ユーロ(約34億3,450万円)とかなり大きい。
コンペなどと違い、このベーシックインカムの提供に関して、クリエーションの質は問われない。専用ウェブサイトでは、アイルランドの画家、音楽家、作家など、アイルランドのアーティストからの募集を受け付けている。受給者は2022年5月12日(木)に無作為に選ばれる予定だ。
この取り組みは、現段階ではパイロット版であるため、成功すればさらに拡大する可能性があるという。
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