富士通株式会社は2日、電子カルテシステムを通じて、医薬品に関する適正使用情報などのさまざまな情報を、医療従事者が直接閲覧できるようにするクラウドサービス(以下、薬剤情報提供サービス)を日本国内で提供開始した。
薬剤情報提供サービスは、製薬企業から提供される医薬品に関する情報を、富士通のクラウド上に集約し、医療従事者がセキュアなネットワークを介して、電子カルテシステム上で情報を閲覧できるサービス。
厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティの高いネットワーク経由で、処方オーダー画面などの日常的に参照する電子カルテシステムの多くの画面から、医薬品の適正使用情報をはじめとするさまざまな情報を取得可能とする。
これにより、医療従事者は、医薬品に関連する基本情報や専門性の高い情報、服薬指導箋などの情報を、それぞれの業務で使用する電子カルテ端末の各画面から容易に参照できるようになり、正確な医薬品情報に基づく処方や医薬品の適正使用を支援する。
医療従事者は、これまで製薬企業のMRや医療従事者向け会員制サイトなど、さまざまな手段を通じて入手していた情報を一括して入手可能になるため、大幅な効率化が実現できる。また、製薬企業にとっても、富士通のクラウド上に医薬品に関する情報を集約し、タイムリーかつ複数の医療機関へ一括で提供できるようになるとともに、医療従事者の閲覧ログから情報参照ニーズを分析し、医療従事者の求める情報を提供できる。
富士通が、2病院の協力のもとで実施したサービスに関する実証実験では、医師による1カ月間の情報閲覧件数が合計で4683件となった。このうち、診療が行われる主な時間帯(午前9時から午後5時まで)の閲覧件数は3397件(全時間帯の72.5%)となり、診療時に医薬品に関する情報を参照したいニーズが高いことが確認できたという。
提供を開始するサービスは、実証実験時より、参照可能な薬剤情報コンテンツの種類や、サービスを起動できる電子カルテシステムの画面の種類を増加しているため、より多くの医療従事者が使用できるとしている。
富士通では、薬剤情報提供サービスの展開を、電子カルテシステムを導入している大規模医療機関から始め、2026年3月末までに600の医療機関への導入を目指す。また、今後、地域の医療機関が患者の診療情報を共有し、地域完結型の医療提供体制を実現するために構築されてきた地域医療ネットワーク網にもサービスを連携させ、2026年3月末までに3600の地域医療ネットワーク連携施設への導入を目指す。
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