新型コロナウイルスの感染拡大で休館していたカナダ大使館高円宮記念ギャラリー(港区)が再開し、障害のあるアーティストたちの作品を集めた展覧会「マイ・イマジネーション−創造性は無限だ!」が始まった。カナダを代表する5人の障害者アーティストたちの独創的な作品約20点が飾られ、来場者を魅了している。
▼ 芸術家を育成
カナダで障害者に芸術的な訓練をしたり、展示の機会を提供している芸術団体「ナショナル・アクセスアーツ・センター」(NaAC)が企画した。一九七五年に設立されたNaACは「カナダで最も長い歴史を持ち、最も規模の大きい障害者の芸術団体」(イアン・マッケイ駐日大使)だ。
NaACは二〇一七年に大きく路線を転換。大半のソーシャルワーカーを、アートの知識のあるスタッフに入れ替え、専用のプログラムを取り入れた。リュ・ジョンソク最高経営責任者は「障害者施設の利用者ではなく、アーティストとして尊敬の念を持って支援している」と胸を張る。
今、NaACには毎週三百人以上の障害のあるアーティストが集まり、芸術活動に精を出す。一八年からは香港やソウル、ドバイ、ニューヨークなど国外でも展覧会を開催している。
▼ 先駆者の女性
国外七カ所目となる東京での展覧会の目玉は、カナダの障害者アートの先駆者である故ジェーン・キャメロンさんが制作した、色鮮やかなタペストリーだ。展覧会の題名にある「創造性は無限だ」という言葉は、彼女の口癖から取った。
キャメロンさんは一九四九年にアルバータ州に生まれた。生後四カ月でダウン症と診断されたが、両親は、国際的に評判の高い米国の学校に入学させるなど質の高い教育を受けさせ、多くの経験を積ませた。
アートの才能を開花させたキャメロンさんの作品は多くの人々に愛され、NaACのアーティストたちに刺激を与えているという。
▼ あふれる個性
会場には、キャメロンさんの後に続く四人の作品も展示されている。
ガーナ出身で一七年にカナダに移住したデビッド・A・オッポンさんは「洪水」をテーマにした絵画「浸水した家のための店 ウォールアート世界最高の暮らし」を出展。洪水被害の惨状を描きながらも、「困難から立ち直る力の探求を続けている」。
「権威を示す地位やアイテムに関心を持つ」というドナルド・グリーノウさんは八年をかけ、「保安官の帽子」をモチーフにした大きなカーペット「シェリフ・ラグ」を制作した。
「文字に恋する」作家、アディール・サディクさんは、切り抜いたビニールの文字を貼ったインスタレーションに「(コロナ禍による)隔離と暗黒の時代にコミュニティーをつなぎたい」との思いを込めた。
▼ 展覧会は
来年2月23日まで。入場無料。土・日曜のほか、12月27、28、31日〜来年1月3日、2月11日は休館。入館には、免許証など写真付きの身分証明書が必要。問い合わせは、カナダ大使館広報部=電03(5412)6310=へ。
文と写真・藤川大樹
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