2021/10/03 10:22 ウェザーニュース
関東から東北の太平洋沿岸で地震が多く発生し、中部や近畿の内陸部での地震も目立ちます。この期間に震度3以上の地震は5回発生しました。(9月27日~10月3日10時の集計)
太平洋プレートが深くまで沈み込んだ所で発生したと見られます。深発地震と呼ばれる、非常に深い所で起きるタイプで、日本海中部を震源とする深発地震で震度3以上を観測するのは、1993年1月以来となります。
日本海全体に範囲を広げると、2003年7月に日本海北部を震源とするマグニチュード7.1、深さ487kmを震源とする地震で、最大震度3を観測した以来です。
この地震で東京都千代田区や栃木県鹿沼市、茨城県笠間市などで最大震度の3を観測、関東から東北の後半で震度1以上の揺れに見舞われ、最も震央から遠い所では岩手県盛岡市で震度1を観測しています。
今回の地震は太平洋プレートが深くまで沈み込んだ所で発生しました。このように地下数100kmの深い所で発生する地震を「深発地震」と呼び、こうした地震では「異常震域」と呼ばれる特徴的な震度分布がみられることがあります。
八丈島近海を震源とするマグニチュード5以上の有感地震は2016年7月以来です。防災科学技術研究所による速報解析では南西ー北東方向に張力軸を持つ正断層型と解析されています。八丈島近海ではこの地震の前の15日(木)の深夜に震度1の地震があり、16日(金)~17日(土)にかけてはマグニチュード4前後の地震が多く発生しています。
八丈島の沖合で発生する地震としては、東方沖のプレート境界型が多く、最近では2009年にマグニチュード6.6、最大震度5弱の地震が起きました。今回のような八丈島の西側は深さ200km前後の深発地震が比較的目立ち、浅い所の強い地震は時々マグニチュード5クラスが発生している状況です。
震源の浅い地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布することが多いものの、深発地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って遠方の地域に揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる震度分布となることがあります。
「異常震域」は大きな深発地震が起きた時、ごく普通に見られます。頻度が高い震源が浅い地震と違った震度分布であるため、「異常」という用語が使われており、現象そのものは異常ではありません。
太平洋プレートが深く沈み込んでいるオホーツク海、三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海などでは同様の深発地震が発生することがしばしばあり、マグニチュード7以上の規模の地震も発生します。
2015年5月には小笠原諸島西方沖でマグニチュード8.1の地震が起きて、遠く離れた神奈川県二宮町で震度5強を観測しています。
この地震は震源の深さが536kmと非常に深く、日本海中部で発生した地震と同じ深発地震です。マグニチュードが7.3と大きかったものの、津波の発生はなく、震央が島から少し離れていたため、揺れによる影響もありません。
バヌアツやフィジー近海は太平洋プレートとオーストラリアプレートの境界に位置し、プレート同士が複雑に入り組んでいるため、様々なタイプの地震が発生します。
今回よりも少し東側のフィジー近海では、2018年にマグニチュード8.2と7.9の深発地震が相次いで起きました。今年の2月にマグニチュード7.7、深さ10kmの浅い地震も発生しています。日本以上の地震多発地域と言っても良いくらいです。
震源が10km未満と浅く、陸域の地震だったため震央周辺では改正メルカリ震度階級のⅦ程度の揺れがあったと見られます。厳密な比較はできないものの、日本の気象庁震度階級に換算すると震度5弱程度に相当する揺れです。震央の近くでは建物の倒壊が発生し、現地当局によると亡くなった方もいるとのことです。
ギリシャ周辺はユーラシアプレートとアフリカプレートに挟まれており、その間にはアナトリアプレートと呼ばれるマイクロプレートがあるとされています。これらのプレートの運動により、幾度となく大きな地震の被害に見舞われています。
クレタ島周辺でもマグニチュード6を上回るような地震が時々発生し、最近では1994年にクレタ島北岸でマグニチュード6.1、1959年には今回と同じように島の陸域を震源とするマグニチュード6.1の地震が起きました。
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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