
東日本大震災から今年10年が経ちました。現在、宮城県石巻と女川では地域復興や振興につながる様々な循環を生み出すことを目指した総合芸術祭「Reborn-Art Festival 2021-22」が開催されています。女川エリアに参加した現代アーティスト加藤翼さんは10年間港に沈んでいた車を地元の住民たち約100人と一緒に引き上げ、その様子をまとめた映像作品を展示しています。10年経った被災地ではいったいどのような変化があるのか、加藤さんに作品を通じて見えてきた現地の空気を教えてもらいました。 【写真】海に沈んでいた時の車、10年の歳月を感じさせる痕跡が…
石巻と女川で行われる芸術祭
東日本大震災から今年10年が経ちました。 まだ復興は半ばという人もいれば、次のステージに進んでいるという人もいます。 そんな今年、宮城県石巻、女川では地域復興や振興につながる様々な循環を生み出すことを目指した、アート・音楽・食の総合芸術祭「Reborn-Art Festival 2021-22」が開催されています。 今年のテーマとは「利他と流動性」。 利他とは自分の利益を中心に考える利己とは異なり、他者のことを考える言葉。しかし、このフェスティバルでは、「人間も自然の一部である」という思想のもと、自然なども含めて「利他」的であることを指していいます。 また、流動性とは、人間、自然、生き物などあらゆるものが流動しており、その中で何を手にして、何を新しく手にいれるのか、ということだと言います。 復興が進む石巻、女川を舞台に総勢23組のアーティストが参加し、このテーマをもとに様々な作品が出展されています。
沈んでいた車を住民と引き上げる
Reborn-Art Festival は被災後7年目から1年おきに石巻で開催されてきましたが、今年から女川も開催場所として加わりました。 女川ではオノ・ヨーコさん、会田誠さんなど著名なアーティストの作品が展示されています。その中でも異彩を放っていたのが現代アーティストの加藤翼さんの作品です。 10年間女川の海底に沈んでいた車を住民たちと引き上げる「引き興し」というプロジェクトの様子をまとめた映像です。 ダイバーが海底に潜っていき、沈んだ車両にロープを引っ掛ける。ロープは地上へとつながっており、クレーンの先に引っかかっている。そして、ロープの先が何本にも分かれており、集まった約100人の住民たちが100本ほどに分かれたロープをもって一気に引き上げる。海水やヘドロなどがたくさん入って重い車両が掛け声と共に一斉に引っ張られて、車両がゆっくりと上がっていく。 ドキュメンタリーのように淡々と映像が流れていきますが、その無機質さとは裏腹に物凄いことが行われている様子が描かれていました。 制作した加藤翼さんは「もともと海の怖さと海の豊かさの両面性を踏まえて、私たちと海との距離を問う作品をつくりたいと思っていました」と言います。 女川は「巨大防潮堤」を作るか否か議論していたときに、「堤防を作ってしまうと街と海とのあいだに距離ができてしまう」という意見が根強くありました。 海の豊かさによって繁栄してきた街だからこそ、巨大防潮堤に頼ることのない新たな町の防災計画と再建を進めることになりました。 「あれだけの体験をし、海への恐怖を持ちながらも『海には豊かさもあるから距離を作らないで』という姿勢に女川の人たちの挫けないタフネスさとポジティブさをとても強く感じたのです。だから、私たちと海との距離を捉えたり、海の中をのぞいたり、両地点からの視点をつないだりする作品を考えていました」 その後、リサーチをすすめる中で、10年前の3月11日から海に沈んだままになっている車が港の目の前にあるとわかりました。 「海底瓦礫という言葉をそこで初めて知りました。海底瓦礫の撤去活動をされていた潜水士の方やクレーン会社の方と出会い、住民の方々も巻き込んでみんなでその車を引き上げられるのではと思ってプロジェクトをはじめました」
からの記事と詳細 ( 「10年間、海に沈んでいた車を引き上げる」アーティストが見た被災地 ヘドロに封印されていた車検証(withnews) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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