ファイザーやモデルナ製の新型コロナウイルスワクチンは、メッセンジャー(m)RNAという人工の遺伝物質を使った新タイプ。インターネットには、接種について賛否の意見が入り乱れている。西日本新聞「あなたの特命取材班」にも「どの情報を信じていいか分からない」との声が届いた。ワクチン情報を複数の専門家で検証し、サイトで情報発信する団体「こびナビ」事務局長の黒川友哉医師(千葉大学病院勤務)に、ワクチンに関する情報収集の心構えを聞いた。(水山真人)
-団体の設立経緯は。
「ワクチンの情報を専門家でクロスチェックして、より正しく、分かりやすく発信していこうと設立しました。誤った情報により、ワクチンの恩恵が広まらない事態は回避する必要があります」
-ワクチンに否定的な情報がネット上で氾濫している。
「もともとワクチンは危険性が強調されやすいものです。ワクチンは現に疾病がない人に使うためで、リスクばかりがまず注目されます。今回は、妊娠や出産への影響があるなどと誤った情報が流れています」
-深刻な状況か。
「特に若年層の一部で接種をためらう傾向がみられます。(多くの人が免疫を付けて拡大を防ぐ)集団免疫獲得の妨げになる可能性があります。もちろん個人の判断ですが、ワクチンは自分だけでなく、接種を受ける権利がない子どもを含め、国民全体の健康を守ることにつながることを理解していただきたいです」

-正しい情報を得るにはどうしたらいいのか。
「情報源の優先順位が重要です。まず公的機関の情報の信頼性が高い。次に、多くの専門家で真偽を評価した情報や、関連学会が発信する情報。個人で発信する情報は、権威ある肩書があったとしても、優先度は最後でしょう」
-ワクチンを打って死亡したという事例が報道されることもある。
「一般の人は、どうしても時系列を単純な因果関係として捉えがちです。しかし、個々の事例でワクチンとの関係を評価するのは簡単ではありません。有害事象はワクチンメーカー、各国の規制当局が世界中の事例を集積し、統計的に分析しています。リスクの高い副反応があれば、必ず世界中で情報が共有されるようになっています」
-博士を自称する専門外の人物が、接種で獲得した抗体がかえって病状を悪くする「ADE」(抗体依存性感染増強)の危険性を指摘したこともあったが。
「現状、兆候となる事例は確認されていません。メリットに比べ、起きない可能性が高いデメリットをことさらに強調することは、医学的にも、公衆衛生学的にも間違っています」
何億回もの接種情報が蓄積されている
-急な実用化を問題視する研究者もいる。
「パンデミック(世界的大流行)で各国はワクチン開発に全精力を注ぎ、現代は通信やデータ処理も発達しています。何億回もの接種情報が日米欧などで蓄積され、安全性は確保されていると言えるでしょう」
-かつて「子宮
「そうしたことから、日本の行政はデータを示しつつも『自分で判断して』までしか発信できないのです。大丈夫、と安心させるメッセージは出しにくい。そのため、われわれのような組織が接種への理解を促すメッセージを発信しています。ただし、コロナワクチンもあくまで任意接種であり、個人の意思は尊重されないといけません」
-メリットばかり強調され、デメリットが見えにくい側面もある。
「接種後の発熱やだるさ、海外でまれに起きている心筋炎などの副反応は、公的機関やこびナビのウェブサイトで情報を確認できます。副反応による重大な後遺症は確認されていません」
-持病がある人も接種に不安を持っている。
「1回目の接種で重大なアレルギー反応が起きた人は、2回目は打ってはいけません。一方、特定の疾患でリスクが上がるとの報告もありません」
「こびナビ」 基礎医学や臨床、薬事行政、公衆衛生、医官経験者などの専門家9人が中心となり、計約40人で構成。新型コロナウイルス感染症(正式名「COVID-19」=コビッド・ナインティーン)とワクチンに関する情報があふれる中、正確な情報にナビゲートしたいとの思いから「こびナビ」と名付けた。2月にウェブサイトを開設。各国の調査結果や論文を精査し、ワクチンの仕組みや効果を解説する動画や、代表的な懸念について説明するQ&A形式の記事を公開している。(こびナビはこちら)
からの記事と詳細 ( ワクチン情報、何をどう信じればいいの? 検証団体の医師に聞いた - 西日本新聞 )
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