2021/07/04 10:26 ウェザーニュース
この1週間で国内で観測された地震回数は前週とほぼ同じ水準です。東北から九州にかけて太平洋側の広い範囲で地震が目立ち、南西諸島周辺では震度1以上の地震がありませんでした。震度3以上の地震は2回発生しました。(6月28日~7月4日10時の集計)
日向灘を震源とする最大震度3以上の地震は去年6月12日以来で約1年ぶりです。地震のメカニズムは北西ー南東方向に張力軸をもつ正断層型と解析されています。日向灘は陸のプレートにフィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフの一部にあたる領域です。プレート境界の深さは20~30km前後と考えられており、今回の地震はそれに比べると少し深い所で発生しました。
日向灘周辺では大きな地震が頻繁に発生しており、最近では2019年5月10日にマグニチュード6.3、震度5弱の地震がありました。震度5弱以上を観測した地震だけでも、2019年、2006年、2002年と比較的短い周期で発生しています。1968年にはマグニチュード7.5の地震が発生し、強い揺れとともに津波の被害に見舞われました。
政府の地震調査研究推進本部では、日向灘でマグニチュード7.6前後のプレート間地震が、30年以内に10%程度の確率で発生するとしています。南海トラフで措定される巨大地震だけでなく、日向灘単体で発生する地震にも警戒が必要です。
能登地方を震源とする最大震度3以上の地震は去年4月6日以来です。地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。
能登半島の北部には沿岸部にいくつかの断層があると考えられています。今回の地震が発生した東側ではあまり大きな地震がないものの、西側ではしばしばマグニチュード5クラスの地震が起きており、去年の3月13日にはマグニチュード5.5、最大震度5強の地震が発生しました。能登半島の沖合を震源とする地震も多く、油断のできない地域です。
今回の地震は深さ100km以上のいわゆる「深発地震」です。震度分布を見ると、震央からかなり離れた群馬県や栃木県でも震度2の揺れを観測しています。震央付近で揺れが強く、離れるに従って弱くなる浅い地震に比べ、広範囲で同じような揺れとなる特徴が現れています。
関東では時々こうした深発地震が発生しており、2020年5月には神奈川県西部でマグニチュード4.0、最大震度2の地震が起きました。過去にはマグニチュード6クラスの地震が発生した記録もあり、そうした場合は震度4ないしはそれ以上の揺れに見舞われることになります。
太平洋プレートが深く沈み込んでいる場所では同様の深発地震がしばしば起き、数年に一度マグニチュード6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。
日本時間の3日(土)5時14分頃、フィジー近海でマグニチュード6.1の地震が発生しました。深さが約606kmの深発地震で地表付近までは強い揺れが届かず、津波も起きていません。
太平洋プレートとオーストラリアプレートの境界にあたるフィジーからトンガ周辺は地震の多発地域です。深さ500km以上の深発地震も多く発生していて、最近では2018年にマグニチュード8.2とマグニチュード7.9の大きな深発地震が相次ぎました。
規模はそれほど大きくなく、震央付近では日本の震度階級で震度2程度に相当する揺れになったと見られます。日本時間の8日(木)朝にかけて継続し、マグニチュード1以上の地震は100回以上に達しました。
ロサンゼルスなどカリフォルニア州では長大なサンアンドレアス断層がよく知られていますが、今回の震源域はそれよりも少し南に離れた領域です。地震のメカニズムもサンアンドレアス断層付近で多く見られる横ずれ型ではなく、逆断層型と解析されています。地震が集中した地域では小規模な断層帯がいくつも分布しており、これらの活動が関連していると考えられます。
この小規模な断層帯周辺でも過去に大きな地震が発生したケースは見られ、今回の震源より少し北西側では1994年にマグニチュード6.7が起きています。ノースリッジ地震と呼ばれる地震で、ハイウェイが崩壊するなど建築物に大きな被害が発生し、50人以上の方が亡くなりました。
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
からの記事と詳細 ( 週刊地震情報 2021.7.4 6月29日(火)に日向灘震源で約1年ぶりの震度3 - ウェザーニュース )
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