2021/05/09 10:07 ウェザーニュース
この1週間で国内で観測された地震回数は前週とほぼ同じ水準で、全国の広い範囲で地震が起きています。震度3以上の地震は3回発生しました。(5月3日~5月9日10時の集計)
地震のメカニズムは北北西ー南南東方向に張力軸をもつ正断層型と解析され、2016年4月の熊本地震の活動域で発生したと見られます。
熊本地震の活動域では3月14日にもマグニチュード4.4の地震が発生し、1年半ぶりに震度4を観測していました。その後は活動がわずかながら活発になっていたもの、地震回数が顕著に増えているとはありません。
熊本地震を引き起こしたと考えられる布田川断層と接している日奈久断層では、大きな地震の発生が懸念されています。政府の地震調査研究推進本部は、今後30年以内の地震の発生確率を、日奈久断層帯の日奈久区間でマグニチュード7.5程度が0~6%、八代海区間でマグニチュード7.3程度が0~16%としています。普段からの備えは引き続き必要と言えそうです。
トカラ列島近海の地震活動は小康状態でしたが、20日(火)にマグニチュード3.0、震度3の地震が起き、さらに震度4の地震が発生したことで、再度の活発化が心配されました。震度4の地震のあとに最大震度1の地震が4回あったもののすぐに落ち着き、22日(木)以降の有感地震は1回のみです。
震度3以上を観測する地震も14日(水)の13時53分に起きたものが最後で、昨日17日(土)は震度1以上の発生がありませんでした。一連の活動は収束したと見られます。
ただ、トカラ列島近海はこうした活動が頻繁に発生していますので、落ち着いた状況のうちに対策など不足している所がなかったか確認しておくと良さそうです。
太平洋プレートが深く沈み込んでいる場所では同様の深発地震がしばしば起き、数年に一度マグニチュード6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。
もう一つの地震はオーストラリアのはるか南で発生したマグニチュード6.0です。震源の周辺に人が住む島はなく津波も発生していないため、この地震による影響は出ていません。
今回の震源はオーストラリアプレートと南極プレートの境界にあたります。プレート同士が離れ合う境界で、トランスフォーム断層が卓越している領域です。今回の地震のメカニズムは横ずれ型で、トランスフォーム断層周辺で多く起こるパターンとなっています。
トランスフォーム断層周辺では巨大地震の発生は少なく、この震源周辺では2007年に発生したマグニチュード6.9が比較的大きな部類で、マグニチュード6クラスが大半です。横ずれ型の地震が多いため津波の発生する可能性は低く周囲に島もないため、この周辺の地震で被害が出ることがないと考えられます。
規模はそれほど大きくなく、震央付近では日本の震度階級で震度2程度に相当する揺れになったと見られます。日本時間の8日(木)朝にかけて継続し、マグニチュード1以上の地震は100回以上に達しました。
ロサンゼルスなどカリフォルニア州では長大なサンアンドレアス断層がよく知られていますが、今回の震源域はそれよりも少し南に離れた領域です。地震のメカニズムもサンアンドレアス断層付近で多く見られる横ずれ型ではなく、逆断層型と解析されています。地震が集中した地域では小規模な断層帯がいくつも分布しており、これらの活動が関連していると考えられます。
この小規模な断層帯周辺でも過去に大きな地震が発生したケースは見られ、今回の震源より少し北西側では1994年にマグニチュード6.7が起きています。ノースリッジ地震と呼ばれる地震で、ハイウェイが崩壊するなど建築物に大きな被害が発生し、50人以上の方が亡くなりました。
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
からの記事と詳細 ( 週刊地震情報 2021.5.9 熊本県熊本地方で震度4 3月に続いて今年2回目 - ウェザーニュース )
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