2021/05/23 10:10 ウェザーニュース
この1週間で国内で観測された地震回数は前週に比べると少ない水準で、この週も北海道から関東にかけての太平洋側で地震が多い状況です。震度3以上の地震は1回発生しました。(5月17日~5月23日10時の集計)
栃木県北部を震源とする地震の多くは日光周辺が目立ち、今回のような那須塩原周辺では2013年6月に発生したマグニチュード3.9の地震以来です。
今回の震源付近では那須野原西縁に伸びる関谷断層が知られています。関谷断層の活動は西側隆起の逆断層であるのに対し、21日(金)の地震は解析の結果、横ずれ型でした。このため、断層そのものの活動ではないと見られます。
トカラ列島近海の地震活動は小康状態でしたが、20日(火)にマグニチュード3.0、震度3の地震が起き、さらに震度4の地震が発生したことで、再度の活発化が心配されました。震度4の地震のあとに最大震度1の地震が4回あったもののすぐに落ち着き、22日(木)以降の有感地震は1回のみです。
日高地方中部は知られている断層帯はほとんどないものの、過去には大きな地震の発生した記録が残っています。2011年9月にはマグニチュード5.1で最大震度5弱。1932年にはマグニチュード6.9で最大震度5(当時の階級)が発生しました。
太平洋プレートが深く沈み込んでいる場所では同様の深発地震がしばしば起き、数年に一度マグニチュード6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。
日本時間の22日(土)未明に中国・青海省でマグニチュード7.3、深さ約10kmと推定される地震が発生しました。
震源近くでは最大で改正メルカリ震度階級のⅧ程度の揺れがあったと見られます。厳密な比較はできないものの、日本の気象庁震度階級に換算すると「震度5強」程度に相当する強い揺れです。現地当局によると高速道路や建物などに揺れによる被害が出ているとのことです。
また、中国・雲南省でも前出の地震の約4時間前となる日本時間の21日(金)深夜にマグニチュード6.1、深さ約10kmと推定される地震が発生しています。震源は標高3000mを超える山岳地帯ですが、近くに洱海(ジ海)があって湖畔に都市が広がっており、揺れの影響で亡くなった方が出ています。
相次いで発生した2つの地震のメカニズムはともに横ずれ型と解析されています。
中国の内陸部はインドプレートやフィリピン海プレートの動きによって地震活動が活発で、しばしば直下型の大地震を引き起こします。代表的なのが四川大地震とも呼ばれる2008年のマグニチュード7.9の地震で、甚大な被害に見舞われました。
規模はそれほど大きくなく、震央付近では日本の震度階級で震度2程度に相当する揺れになったと見られます。日本時間の8日(木)朝にかけて継続し、マグニチュード1以上の地震は100回以上に達しました。
ロサンゼルスなどカリフォルニア州では長大なサンアンドレアス断層がよく知られていますが、今回の震源域はそれよりも少し南に離れた領域です。地震のメカニズムもサンアンドレアス断層付近で多く見られる横ずれ型ではなく、逆断層型と解析されています。地震が集中した地域では小規模な断層帯がいくつも分布しており、これらの活動が関連していると考えられます。
この小規模な断層帯周辺でも過去に大きな地震が発生したケースは見られ、今回の震源より少し北西側では1994年にマグニチュード6.7が起きています。ノースリッジ地震と呼ばれる地震で、ハイウェイが崩壊するなど建築物に大きな被害が発生し、50人以上の方が亡くなりました。
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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