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Wednesday, February 3, 2021

技術情報流出 競争力の源泉守る対策が急務 - 読売新聞

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 競争力の源泉となる技術の情報が流出すれば、企業が損害を被るだけでなく、国力の基盤を損なうことになりかねない。各企業は、漏洩ろうえいの防止に万全を期さねばならない。

 高速・大容量通信規格「5G」の基地局などに関する秘密情報を不正に持ち出したとして、東京地検がソフトバンク元社員の男を不正競争防止法違反で起訴した。

 男は情報を入手した後、競合会社の楽天モバイルに転職した。ソフトバンクは、情報の利用停止と廃棄を求めて楽天側を提訴する方針だという。一方、楽天側は「情報を業務に利用した事実は確認されていない」と反論している。

 日本では5Gの基地局整備が遅れており、携帯各社は増設を急いでいる。ライバル会社に秘密情報が漏れたとすれば、公正な競争環境が損なわれかねない。捜査当局には、流出の背景や情報の利用実態を明らかにしてもらいたい。

 国の調査では、秘密情報漏洩の約3割に、社員や元社員が関与していた。転職や退職時に持ち出すケースが目立つという。

 男は退職時にソフトバンクと結んだ秘密保持の誓約を破って漏洩に及んでいた。ITや通信分野では人材獲得競争が過熱している。同様の事態が起きないよう、職業倫理の厳守を徹底すべきだ。

 国内の他企業への流出だけでなく、海外への漏洩も起きている。ソフトバンクでは昨年にも、元社員がロシア元外交官の求めに応じて秘密情報を漏らす事件が発覚した。情報管理に問題はなかったか、改めて点検する必要があろう。

 昨秋には、積水化学の元研究員が、スマートフォンに関する独自技術の情報を、中国企業に漏らしたとして書類送検されている。

 中小企業が持つ優れた技術も標的となっている。各国がしのぎを削る分野で技術の流出を許せば、日本の国際競争力が低下する恐れがある。表面化した漏洩は氷山の一角にすぎないのではないか。

 漏洩対策の強化が急務だ。守るべき情報を明確化した上で、データの暗号化やアクセス権の制限といった措置を取る必要がある。漏洩した場合も早期に検知できるよう、サーバーへの不審な接続をチェックできる態勢を整えたい。

 国は、対策が遅れている中小企業への支援を強めてほしい。

 日本では企業の経営不振から技術者のリストラが相次いだ。業績を正当に評価し、適切に処遇することが重要だ。信頼関係の構築が、人材流出と情報漏洩の抑止につながることを忘れてはなるまい。

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