【モスクワ=小野田雄一】南カフカス地方の旧ソ連構成国アゼルバイジャンとアルメニアの双方が領有を主張する紛争地アゼルバイジャン西部ナゴルノカラバフ自治州で27日、大規模な戦闘が発生した。民間人を含む複数の死傷者が出ているもよう。両国間では7月にも、同自治州から数百キロ離れたアゼルバイジャン北西部トブス地区で計10人以上が死亡する戦闘が発生しており、両国間の緊張が再び高まった形だ。
イタル・タス通信などによると、両国は「相手が先に攻撃をしてきた」と主張。互いに軍事施設への砲撃などを行った。ヘリコプターや戦車、無人機などの被害も確認されている。
アゼルバイジャンの友好国であるトルコは同国への支援を表明し、アルメニアを非難。一方、アルメニアの後ろ盾で、アゼルバイジャンにも影響力を持つロシアは双方に自制を求めた。欧州連合(EU)のミシェル大統領も即時停戦を要求した。
ナゴルノカラバフ自治州ではソ連末期、多数派のアルメニア系住民がアルメニアへの帰属変更を求めてアゼルバイジャンと対立し、両国で数万人が死亡する紛争に発展。ロシアの軍事支援を受けたアルメニア側が自治州の実効支配を確立した状態で1994年に停戦となった。停戦後も衝突が散発し、2016年4月には少なくとも計数十人が死亡する衝突が発生した。
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