今回は、2020年ベートーヴェン・イヤーを記念して、セーゲルスタム&トゥルク・フィルによる“ミサ曲ハ長調”、グライムソープ・コリアリー・バンドによる、コルネット協奏曲“水平線の神秘”を含む英国の作曲家ナイジェル・クラーク作品集、ジェイムス・ジャッド&ナショナル・オーケストラ・インスティトゥート・フィルハーモニックによるバーンスタイン、コープランド、ガーシュウィン作品集、「アメリカン・ホルン・カルテット」のメンバーの一人であり、作曲家としても活躍するケリー・ターナーによる「ホルン作品全集 第1集」、フランスの作曲家、シャルル=マリー・ヴィドールの「オルガン交響曲」を名手ヴォルフガンク・リュプザムが演奏するシリーズ第2集、トーマス・アデス:ピアノ・ソロ作品集など、世界初録音を含むCD10タイトルがリリースされます。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827):ミサ曲 ハ長調 他
レイフ・セーゲルスタム(指揮)、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
アボエンシス大聖堂聖歌隊
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17世紀から18世紀にかけて、ハプスブルク帝国、オーストリア=ハンガリー帝国末まで、ハンガリー王国最大の大地主として君臨したエステルハージ家。長らくハイドンが宮廷楽長を務め、古い時代の音楽を好む当主ニコラウス2世のためにミサ曲を書き続けていました。しかしハイドンが健康悪化を理由にこの慣習を中断、フンメルがこれを引き継ぎましたが、1807年にベートーヴェンにも「ミサ曲作曲の依頼」が舞い込みました。ベートーヴェンは畏まりつつ、この依頼を受け、ハイドンの伝統に基づいたミサ曲を書き上げました。残念ながら初演は失敗、エステルハージ公は作品を気に入ることはなかったため、ベートーヴェンは献呈先をエステルハージ公からキンスキー公に変更し出版にこぎつけたというエピソードを持っています。とはいえ、完成度はとても高く、当時の評論家たちも「素晴らしい出来栄え」と賛美した隠れた名作です。
同時収録はシカネーダーの詩による「ヴェスタの炎」とゲーテの詩による「静かな海と楽しい航海」。セーゲルスタムの堂々たる指揮で。
(ナクソス・ジャパン)
バーンスタイン(1918-1990):ソングフェスト、ガーシュウィン(1898-1937):パリのアメリカ人(クレーグ編)、コープランド(1900-1990):戸外のための序曲
ジェイムス・ジャッド (指揮)、ナショナル・オーケストラ・インスティトゥート・フィルハーモニック
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近現代アメリカを代表する3人の作曲家の作品を収録した1枚。冒頭は1920年代のパリの雑多な風景をガーシュウィンが音楽で描いた名作「パリのアメリカ人」。この録音では通常演奏されるF.C=ワトソン改訂版ではなく、2019年にM.クレーグによって新たに発表された比較校訂版が用いられており、ガーシュウィンの最初の構想に近い音を聴くことができます。
バーンスタインの「ソングフェスト」はアメリカ建国200年を記念して作曲された歌曲集。ここで使われた13人の詩人の詩にはそれぞれ「創造性、愛、結婚、マイノリティたちが抱える問題」など、多岐に渡るテーマが掲げられており、これらは、バーンスタインの音楽で見事に具現化されました。
華やかなトランペットのソロで知られるコープランドの「戸外のための序曲(野外序曲)」は1938年のオーケストラ版が演奏されています。
(ナクソス・ジャパン)
ナイジェル・クラーク(1960-):コルネット協奏曲“水平線の神秘”、他
グライムソープ・コリアリー・バンド
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英国の作曲家ナイジェル・クラークは、1994年にブラック・ダイク・ミルズ・バンドのコンポーザー・イン・レジデンスを務めたことで、吹奏楽界の頂点に立つ作曲家の一人として君臨しています。
このアルバムには名映画監督ヒッチコックのドキュメンタリー・フィルムから触発された「DIAL "H" FOR HITCHCOCK」と、シェークスピアの「ヘンリー4世」からの1シーンを描いた「スウィフト・セバーンの洪水」、ベルギーの象徴派の画家ルネ・マグリットの4つの絵画に基づく「水平線の神秘」、アポロ8号の宇宙飛行士ウィリアム・サンダースが撮影した地球の写真からインスパイアされた「アースライズ」の4曲を収録。
世界最高峰のブラスバンド「グライムソープ・コリアリー・バンド」が万全のテクニックでこれらを聴かせます。
(ナクソス・ジャパン)
ケリー・ターナー(1960-):ホルン作品全集 第1集
クリスティーナ・マッシャー=ターナー (ホルン)、ケリー・ターナー (ホルン)、他
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ケリー・ターナーは、1960年アメリカ生まれのホルン奏者。マンハッタン音楽学校でディプロマを取得、シュトゥットガルト音楽芸術大学ではヘルマン・バウマンに師事し、卒業後はルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の奏者に就任するなど、国際的な活動をしています。また、世界を代表する「アメリカン・ホルン・カルテット」のメンバーの一人であり、作曲家としてもアンサンブルのためにも数多く作品を提供。これらの四重奏曲は世界中で広く愛されています。
このアルバムでは、中国のことわざ“暗闇を呪うよりもロウソクを灯したほうがよい”から生まれた「暗闇の中のロウソク」や、フランス・バロック期の作曲家クープランの旋律に基づく変奏曲、イギリスの短編小説にインスパイアされた「暗い嵐の夜だった」など様々な素材から生まれた作品を、ターナーの自演も交え収録しています。
(ナクソス・ジャパン)
ウェイランド(1954-):弦楽四重奏曲第4番, 第5番
メルボルン四重奏団
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英国の作曲家ダグラス・ウェイランド。1985年に発表された「弦楽四重奏曲第1番」の成功により「20世紀英国における重要な弦楽四重奏曲作曲家」の一人として賞賛されています。このアルバムには2011年と2012年に書かれた「第4番」と「第5番」を収録。
シンプルな旋律で幕を開ける第5番は、古典的な雰囲気を保ちつつも、予想外の展開を見せながら自由に発展していきます。全体の中核を成す「トスカーナ風のシチリアーノ」と題された第2楽章や、序奏を伴う終楽章も意外性に満ちた音楽です。
5楽章で構成された大規模な第4番も独自性の高い曲。変ロ調を基本にするも、調性感は薄く、とりわけ“Misterioso=神秘的に”と指定された第2楽章での不安定な楽想はこの作品が21世紀に書かれたことを実感させてくれます。快活な第3楽章、シューベルトやハイドンを思わせる美しい第4楽章、バルトーク作品を思わせる激しい第5楽章と、全体に変化に富んだ個性的な味わいを持っています。
(ナクソス・ジャパン)
ヴィドール(1844-1937): オルガン交響曲全集第2集
ヴォルフガング・リュプザム(オルガン)
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フランスの作曲家、シャルル=マリー・ヴィドールの「オルガン交響曲」を名手ヴォルフガンク・リュプザムが演奏するシリーズ、第2集。自身も超絶技巧の持ち主だったということもあり、彼の作品はどれも卓越した技術を必要とするだけではなく、多くのオルガニストは、ヴィドールが長年愛奏した“名匠カヴァイエ=コル”が制作した楽器でなければ、ヴィドール作品を完璧に演奏することができないと考えていますが、ヴィドール自身は、ツアーで訪れた教会のさまざまなオルガンを演奏したという記録が残っています。今回のシリーズでは、リュプザムはスキナー社製のオルガンを用い、音色や響きの新しい可能性を探っています。
第2集にはオルガン交響曲第3番と第4番を収録。バッハを思わせるバロック様式で書かれた前奏曲で幕を開ける第3番は、技巧的な終楽章が聴きどころ。華やかなトッカータが冒頭に置かれた第4番は、即興的でありながら、細部の至るところに工夫が凝らされた先進的な作品です。ボーナストラックとして追加された第2番の第4楽章「スケルツォ」は、後に「サルヴェ・レジーナ」に置き換えられた曲。現在では単独で演奏されることの多い、活発な表情を持つ明るい作品です。
(ナクソス・ジャパン)
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