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Thursday, October 15, 2020

社説 偽情報発信 軽率に物言う議員の不実 - 信濃毎日新聞

 政策を決める上で最も重要なのは事実に基づく論議だろう。

 自民党が、日本学術会議のあり方を検討するプロジェクトチーム(PT)の初会合を開いた。連動して菅義偉政権も学術会議を行政改革の対象とし、PTの提言も踏まえて年内に結論を出す構えでいる。

 なぜ学術会議が推薦した新会員6人の任命を菅首相は拒否したのか―。核心の説明もないまま、問題の所在をすり替えようとしている。看過できないのは、自民の議員が学術会議に関わる偽情報を発信してきたことだ。

 党税制調査会長の甘利明氏が自身のメールマガジンに投稿した記述を修正した。8月の配信号で、中国の「千人計画」に学術会議が「積極的に協力している」と記していた。海外から先端技術の研究者を集め、軍事利用しているとの指摘がある計画だ。

 学術会議が中国科学技術協会と結んだ協力覚書を曲解したとみられる。交流や情報交換を目的とするものの、予算不足もあって事業は実施していない。甘利氏は「間接的に協力していることになりはしないか」と改めている。

 長島昭久衆院議員は今月、学術会議のOBは日本学士院の会員となり終身年金を受給する、との偽情報をツイッターに投稿。数日後に謝罪している。

 甘利氏、長島氏とよく似た内容の情報がネット上に飛び交う。終身年金については、フジテレビの上席解説委員が番組で取り上げ、批判を浴びた。

 修正や謝罪をしても影響を帳消しにはできない。事実を確かめようと思えば資料を入手できる議員でありながら、軽率に過ぎる。

 「学術会議が機能しているのか伝わってこない」。自民PTからこんな声が聞かれた。学術会議は今年に限っても、60件を超す提言を出している。むしろ、政府がどう提言を生かしたのかを検証しなければならない。

 学術会議が軍事研究への協力に否定的な立場を堅持していることが、自民が矛先を向ける背景にあるとされる。井上信治科学技術担当相は「時代の変化を踏まえて考えてほしい。研究成果の軍民両面での利用は、どの分野でもあり得る」と主張している。

 「納税者の立場から学術会議のあり方を議論する」とおためごかしを口にする。自民にとって煙たいだけではないのか。学術会議のこれからを問うにしても、権力による学問への介入という疑惑の大本を解いてからだ。

(10月16日)

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October 16, 2020 at 07:19AM
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